第80話【嵐の中にて】

超高速で近付くグレートヒェンに対して超高速で迎撃を試みる大猿。

しかし大猿は一瞬後ろに下がった、大猿は素手であるからだ。

このまま行けば剣に斬り裂かれるのは必至、ならば再び岩を手に取り

岩で防御をするしかない!!


大岩に手を伸ばす大猿、しかし大岩が突如砕ける。


「!?」


大猿は困惑した、一体何が起きている!?

良く見ると岩の中に何かが有る・・・もぞもぞと動いている・・・生首?


「腰だ!!腰の部分に私の腰が有る!!」

「!?」


生首が動いて喋った!?いや驚いている場合では無い、如何にかせねば・・・


「はああああああああ!!!」


斬りかかるグレートヒェン、咄嗟に防御態勢を取る大猿。

大猿は腕を体の前にクロスさせ左腕が斬り落とされた。


「グオオオオオオ!!!」

「貰った!!」


大猿は斬り落とされた左腕を右腕で掴み振るった。


「!?」


弾き飛ばされるグレートヒェン、だが雑な振り方では大した威力は出なかった。


「腰を入れた攻撃に気を付けろ!!文字通り腰だ!!」


ファウストの頭部がグレートヒェンに警告する。


「なるほど、確かに腰が入ってない攻撃だったわね・・・」


グレートヒェンは警戒しながらも速攻で倒す事を意識した。


「はああああああああああ!!!!!!!」

「グオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!」


一人と一匹の咆哮と同時に腕と剣の剣撃が始まった。

斬られた腕はまるで棍棒の様に働いたが剣の鋭さには敵わず斬られていく。

だが直接素手で殴りつけて更にダメージを受ける事態は免れた。

防御には丁度良いと大猿は思った、このまま耐え凌げば手下達の増援で

こいつを始末出来ると、だがしかしふらりと大猿は一瞬気が抜けた。

無論その隙を見逃さずにグレートヒェンは攻め立てる。

胴に浅い傷が付いた、致命には至らないがさっきのは一体・・・


そこで大猿は察した、出血が酷い

血を流し過ぎた、このままでは出血多量で死ぬ。

大猿は完全に読み違えた、手下の猿を悠長に待って居たらこのまま死んでしまう!!


大猿の動きは一気に加速した、グレートヒェンの動きもそれに合わせて加速した。


大猿とグレートヒェンの剣撃はまるで嵐の様だった。

近付く者を全て蹴散らす様な肉片が舞う暴風。


悍ましい光景だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る