第67話【暗い結末】

グレートヒェンはベットで目が覚めた。

都市ヴィッテンベルクから出た後に運良く盗賊に襲われ返り討ちにした事で路銀を得る事に成功し

これからファウストの死体がある場所に行く前に宿に泊まっていたのだ。


「ふわぁ・・・」


グレートヒェンは軽く伸びをした後にベッドから出て朝食を宿に備え付けの食堂で取った。

食堂に有った新聞を何気なく見るグレートヒェン。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【速報】ミハエル卿の息子逮捕!!


義勇軍を組織し指揮して魔王軍との戦いで戦死したミハエル卿の息子

ジェラール卿(9)が逮捕されたと王国から発表が有りました。

ジェラール卿の領地【都市ヴィッテンベルク】でジェラール卿が行った

様々な政治的問題行動と民衆と現地騎士団との

激しい戦闘を起こす切欠を作り出したとして

王国の近衛を始めとした特殊部隊がジェラール卿を逮捕する事に成功しました。

ジェラール卿の行った非道は義勇軍の生き残りの殺害等

国家重反逆罪の適用も視野に入れられ貴族としては

国家初の処刑もあり得るとの事です。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


そこまで見るとグレートヒェンは新聞を放り捨て、瞑目した。


思い出されるのは義勇軍とミハエル卿との思い出。


共に居たのは少しの間だけだったがミハエル卿とその義勇軍は一緒に居て気持ちの良い連中だった。


ミハエル卿の故郷に残した息子の話は良く聞いた。


その彼がこうして捕まり、更に家名まで無くなる処刑までされる

貴族にとってはこの上ない恥であり無念だろう、とグレートヒェンは感じる。


もしもヴィッテンベルクから逃げる時に逃げずにジェラールとやらを

のしてしまえばこんな事にならなかったのではないか?


「・・・馬鹿か」


倒してそれで済む次元の話では無い、ジェラールは人間の貴族で魔王では無い。

してしまった事にはそれ相応の報いが有るのだ。

彼は国を救った英雄達を殺した、ならば殺されるのだろう。

グレートヒェンはそう割り切って立ち上がった。

自分がするべき事は過去の後悔では無く、未来を切り開く事なのだから。


そしてグレートヒェンは朝日に向かって行ったのだった。

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