腰の章
第68話【山にて】
グレートヒェンはファウストの死体を求めて旅をしていた。
「ファウスト、君の言う通りにしているけど本当にこっちで合っているの?」
『質問に答えよう
前にも言ったが頭部だから何処に体が有るのかは把握している』
「いやそれは知っているけどさ・・・本当にこっちなの?」
グレートヒェンが怪しく思うのも無理はない。
今までファウストの死体が有った場所は全て人が居る場所である。
村や街、城であり人の手が加わった場所である。
今一番強く活動している死体を探知出来るファウストの頭部が指し示す先として
当然その場所には人が居る。
にも拘わらずグレートヒェンが向かっているのは険しい山々である。
険し過ぎる程険し過ぎる山々、最早崖と言っても良い山である。
自然が豊かだが険し過ぎる為、獣は住めるだろうが人が住めるとは思えない。
グレートヒェンの愛馬ローズオーラでも進むのは難しそうだ。
「・・・人が住んでいるの?こんな場所に?」
『険しい山だが変わり者は何処にでもいる、と言う事だ
死体は間違いなくこの山の上に有る』
「とりあえずローズオーラは置いて行こう」
足は文字通り有るので問題は無い。
ファウストの右足の力を使って文字通り飛ぶグレートヒェン。
崖を上り山の上に上がって行く。
山の上に登って行く内に奇妙な物を見つけた。齧った林檎である。
「・・・如何やら上に誰かいるのは間違いない様だね」
『その様だな』
グレートヒェンは山を更に昇って行く。
「キャ!!」
「!?」
何か叫び声、いや鳴き声が聞こえた、鳴き声がする方を向くと。
そこには猿が居た、猿は慌てて崖を上り視界から消えて行った。
「・・・猿?」
『その様だな、ここは手付かずの自然が溢れる場所だ
猿が居ても不思議は無い』
「やれやれ・・・漸く誰かに出会えたと思えば猿か・・・
道のりはまだまだ長そう・・・?」
再度山を飛び跳ねながら登っていくグレートヒェン。
「ん?」
猿が何匹か屯していた。
「群れでも有るのか?」
猿達に興味無く先に進もうとするグレートヒェン、だが猿の一匹が石を投げて来る。
無視して飛び跳ねて更に山の上に向かうグレートヒェン。
台地の様な所が有ったので一休みしようかと思った、が。
「むっ・・・」
先程より沢山の猿がそこには居た。
上の方にも猿は居る。
「やれやれ獣と殺し合い趣味は無いのだがな・・・」
グレートヒェンは剣を構えた。
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