第65話【暗い取引】

「君の父君を殺したのは魔物だ」

「・・・もしも義勇軍が強かったら魔物に殺される事も無かった!!」

「いや魔物が居なかったらそもそも義勇軍なんか無かったしやはり魔物のせいだ

さてとそれじゃあ武装放棄して貰って良いか?懐に拳銃を忍ばせているのだろう?」

「っ・・・」


ジェラールは拳銃をスクラッチに向ける。

それと同時にクレールの目玉を抉るスクラッチ。


「!?」

「次は殺すが良いか?」

「・・・・・」


ジェラールは拳銃を床に捨てた。


「御宅もだよ」

「・・・・・」


ミシェルは黙っていた。


「・・・武器捨てろって」

「スクラッチ殿、少々お話を良いでしょうか?」

「話?」

「ミシェル?何を・・・」

「御安心下さい若様、私が何とかします」

「何とかする?お前が?俺を?無理だぞ?」


槍をミシェルに向けるスクラッチ。


「交渉しましょう」

「交渉だと?」

「えぇ、仲間が死んでも何とも思わない貴方は私達の命等如何でも良い筈

ならば交渉して理を取るのもアリでは無いのですか?」

「・・・目録を貰おうか?」

「ではこちらに・・・」


ミシェルは別の部屋にスクラッチを案内する、スクラッチも後に続く。

ジャラールも後をついて来ようとするが。


「若様は此方へ、交渉決裂の時は御逃げ下さい」

「・・・分かった」

「逃げても良いが追いかけるぞ?」

「・・・・・」


ジェラールは黙って椅子に座った。

ミシェルは別の部屋に向かった、如何やらその部屋はミシェルの自室の様だった。

ミシェルは小箱を大事そうに取り出すと中を開いた。

中身は肉の塊だった。


「臓器・・・この形は膵臓か?」

「えぇ、恐らくゴーチエ大公が渇望なされている

勇者ファウストの死体の一部、ではありませんか?」

「・・・ふーん、ゴーチエ大公の使いはファウストの死体が無くなった事位しか

知らないのに何でお前はこの膵臓がファウストの死体だと知っているんだ?」

「この死体、触れると体内に取り込まれ力が湧いてくるのですよ

そして噂として知ったのですが勇者の爆発、それでこの死体がその爆発で吹き飛んだ物では無いか

と思い至りまして」

「ほうほう、それで?この死体の見返りにお前は何を求める?」

「大公閣下に私を取り立てて貰えないでしょうか?必ず私はゴーチエ大公のお役に立てると思います」

「・・・・・てっきり主人の助命を乞うのかと思ったよ」

「あの子供ですか?あり得ませんよ」

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