第38話【首を掴むエルフ】

「森エルフの族長よ、妙だとは思わないか?」

「それはひしひしと感じるよ山エルフの族長」


立ち話もなんだからと控室に入って話し合う二人の族長

少し離れた所で話すライヒャーとマンゲル


「ライヒャーよ、何故あの二人は遠回しに役職で互いを呼び合うんだ?」

「じゃあ聞くがなマンゲル、お前は族長の名前を知っているのか?」

「・・・知らんな」

「そう、族長達は互いに名前を知らないんだ

何でも大昔の呪い避けの風習だとか何とかで名前を伏せているんだ」

「だが私はハイエルフの族長の名前を知っているぞ、ルネだったか?」

「長生きすると秘密は隠し通せないと言う良い例だな

ルネについてどれだけ知っている?」

「本人は隠そうと躍起になっているが典型的なハイエルフ」

「つまり」

「超高圧的、かつ排他的、エルフじゃない人間を特に見下し

更にハイエルフ以外のエルフすら見下す、見下し大好きエルフ」

「ハーフエルフに関してはエルフの一族から除名するとか息巻いているらしいぞ」

「流石にそれはデマでしょ、そこまでの馬鹿じゃない」

「そうだな・・・所で魔王討伐の旅でファウストと良い仲になったってのは本当か?」

「何それ?アイツのパーティは女が多かったけどそういう浮ついた話は無かったね

私も何度か夜這いに行ったんだが煙に巻かれた」

「そうか・・・ファウストの件は残念だったな」

「残念?」


マンゲルは左手でライヒャーの首を絞める


「そういう上っ面の同情は要らんぞライヒャー」

「がっ、おまっ・・・・」

「おい、何やっているマンゲル」

「二度と気安くファウストの話題を出すな」


ライヒャーを話すマンゲル


「お前・・・腕力強過ぎるだろ・・・一体何が有った?」

「色々有ったんだよ」


外からハイエルフの護衛がやってくる


「会議の準備が整いましたので皆さん会議室にお集まり下さい」


族長達とその側近、マンゲルとライヒャーは会議室に向かった

会議室には円卓が置かれており既に滝エルフ、谷エルフ、闇エルフ、海エルフ

火エルフ、氷エルフの一族達は席についていた


そしてハイエルフの一族の族長ルネがやって来た

彼女は目尻に皺が目立つエルフで魔術師でも有る


「皆が揃った所で会議を始めようか」

「待った、ハーフエルフの一族がまだ来ていないぞ」

「彼等は来ない」

「来ない?如何いう事だ?」

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