第E話【処刑翌々夜の騒乱】


国王フォースタスの寝所、暗殺防止の為に窓は無く魔術の光が灯り

四人の近衛が待機していた、そこにやって来るパンとゴーチエ


「た、大公閣下!!それに近衛長!!」

「貴方達は一旦部屋の外に下がりなさい」

「で、ですが・・・」

「・・・・・」

「は、はい分かりました!!」


パンが睨んだ事でそそくさと部屋の外に出た近衛達

ベットの上には頭に骨が刺さったフォースタスが居る


「・・・それで大公閣下、何故ここに?」

「国王が倒れたと言う情報を得たのでな嬉しくなってついやって来てしまった」

「打ち合わせと違ったので驚きましたよ」

「あぁすまないな」


この二人は実は裏で繋がっており本来ならば勇者を処刑した後に

魔族の仕業に見せかけ王族を根絶やしにした後に自身が王座に座る計画を練っていたのだ


「だがしかしこの男がこうして倒れ伏している様は愉快だな」

「えぇ、全くです」

「近衛長ともあろう者が不敬では無いのか?」

「私を名誉退職だか何だかで長年仕えた私を追い出し

スクラッチを後釜に据えようとするような奴に敬意なんて払えません」

「あぁ分かるとも、この男には長年積もり積もった恨みが有るんだ

出来る事なら殺してやりたい所だが・・・」

「流石にそれは後始末が大変なので我慢して下さい」

「このまま骨を頭に押し付けてしまうのは如何だ?寝返りとかで偶然」

「止めて下さい」

「ははは、冗談だ、さて愉快な物も見れた所でそろそろ行くとするか」

「もう御立ちになられるので?」

「あぁ、王があの様では二度と立ち上がれまいだろう

さっさと・・・」


そこまで言ってゴーチエは固まった


「如何成されましたか・・・」


パンも固まった


フォースタスが起き上がり此方を見ていたのだ


「ゴーチエ、パン、貴様等・・・」

「っ~!!」


ゴーチエはフォースタスに駆け寄り

フォースタスの頭に刺さった骨をそのまま一気に頭に貫通させた


「あ・・・あ・・・」


震えるフォースタス


「大公閣下・・・何という事を・・・」

「我々の事を知られた以上殺すしかない・・・パン、お前も共犯だ」

「・・・・・」

「あ・・・あ・・・」


揺れが激しくなるフォースタス、そして


絶叫、言葉に成らない程の絶叫


フォースタスが叫び

それに呼応してパンとゴーチエも叫びながら部屋の中から逃げ出した

外の近衛も入って来たがあまりの音量に慌てて戻る始末だった

正にこの時局地的な勇者の爆発が再び起こったのだ

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