第F話【処刑三日後】

「一体何が起こっているのか説明を願いたい」


大王城の大会議室にてやって来たヴォルフガングが口火を切る

城の中では絶叫が響いている、幸い、城の外には漏れてはいないだろうが

それでも城の中では反響し五月蠅い事この上ない


「私にもさっぱり分からない、国王を見舞ったら急に叫び始めて・・・」

「大公閣下には何も怪しい所は御座いませんでした」


ゴーチエとパンは口裏を合わせる


「・・・何れにせよ陛下は頭に骨が刺さった状態で生きて居られたのです

今更何が起きても不思議ではありません」


スクラッチが二人の言葉を補強する


「ですが大公様が訪れた途端に変化が現れると言うのは変では無いですか?」

「それは失礼ではありませぬかシュルトゥ殿」

「・・・確かに失言でした、申し訳ない」


ハンスに窘められるシュルトゥ


「・・・それにしてもグレートヒェンは一体何処に行ったんだ

こんな非常時に」

「彼女が居た所で現状何も出来ないでしょう」

「だが無責任だ、このハンスの後を継げるとは思えませんな!!

そもそも君達勇者の仲間に我々の後が継げるか疑問でならない!!」

「お言葉ですが団長、我々も良い歳ですしそろそろ引退では?」

「何を言うかヨナス!!」

「喧しい!!ただでさえ五月蠅いのに騒ぐな!!

それは置いておいて現状、如何にかならないか?五月蠅くてかなわない」


フォンが率直な感想を口にする


「シモン、お前は何か分からんのか?」

「フォン王子、残念ながら私にも何が起こっているのか・・・

実際に陛下を見られれば良いのですがあの声量では近付く事すらままなりません・・・」

「じゃあ誰かこの状況を何とか出来る奴は居ないのか?」

「ファウストならば或は・・・」


シュルトゥの呟きに押し黙る一同


「・・・死んだ奴を今更如何こう言っても仕方ない、賢者の・・・何と言ったか?」

「メフィストフェレスか?彼女はまだ断頭台の所に居る筈だ」

「連れて来れないのか?」

「彼女は意志疎通が取り難い相手だ、無理だろう」


落胆の声が漏れる


「だが現状手を拱いて何もしない訳には行かないだろう!!

何か出来る事は無いのか!?」

「・・・先と比べて声は小さくなっている、このまま待つのは如何だろうか」

「だがしかし!!」

「それ以外に出来る事が有るのかね?」


ゴーチエは提案する


「そうするしか無いか・・・」

「しかし何故叫んでいるんだ?」

「分からん・・・」

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