第B話【処刑翌夜】

野営病院と化した首都の広場にて

簡易的に作られた本部にて第二王子ヴォルフガングは溜息を吐く


「王子、もう休まれては?」


騎士の一人が見かねて声をかける


「そうはいかん、処刑場で苦しんでいる民草達はまだ大勢居るだろう」

「ですがもうこんなに時間が経っていれば・・・もう」

「分かっている!!だからこそ急がなければならないのだ!!

救援に駆け付けた陸軍にも急がせろ!!」

「はっ!!」


騎士は本部の外に出る


「・・・・・」


ヴォルフガングは本部の外を見る

外は夜だが空には輝く光源が打ち上げられている

最初は何事かと騒いだが後に賢者メフィストフェレスが打ち上げた光魔法だと分かり落ち着いた

本来ならば闇夜に閉ざされ救出は困難になる筈だったが

スムーズに救出活動がで出来る事になった


「殿下」

「おお、スクラッチ殿とシュルトゥ殿では無いか」

「お久しぶりですヴォルフガング殿下、ヨハン殿下は何方に?」

「お抱えの騎士達共々行方不明だが・・・ヨハンがどうかしたのか?」

「い、いえ、別に・・・」

「それは兎も角この惨状は一体?

私も家の者達への指示で一日費やしてしまいまして・・・」

「私にも良く分からない、断頭台にて勇者が爆発したとか何とか」

「一体如何言う事ですか!?」

「私にも分からない・・・一体何が起きているのか・・・」

「それにしてもこの灯は一体・・・?」

「この光はメフィストフェレス殿の魔法です」

「アイツが人々の為に魔法を!?」

「信じられません・・・」

「私は彼女の事を知らないのですがそんなに驚く事なのですか?」

「・・・我々も言う程彼女の事を知りませんでしたね」

「何れにせよ、少しメフィストとは話す必要が有りますね、奴は何処に?」

「断頭台の方に・・・」

「分かりました、ありがとうございます」


シュルトゥは走り去っていった


「・・・スクラッチ殿は行かなくてよろしいのですかな?」

「私は陛下の無事を確かめに来た次第ですから」

「・・・・・」

「・・・陛下は御無事では?」

「頭に骨が刺さっている、今は息が有るが目を覚ますかは・・・」

「陛下の体力次第と言う事ですか・・・何れにせよ話し合いが必要ですね」

「私はまだここを離れる訳には行かない、後二日待って欲しい

一応の事態の鎮静化は図れる筈だ」

「分かりました、では私は城へ向かいます」


スクラッチは走り去っていった

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