第C話【処刑翌々日】

一心不乱に賢者は死体を漁っている


「これも違う、これも違う、これも、これも違う違う」


ブツブツと何かを言いながら死体を寄り分けている

周囲の騎士や陸軍兵士達は寄り分けられた死体を回収し運んでいる

死体とは言え弔う為には必要なのだ


「ようやく見つけたメフィスト・・・」

「・・・シュルトゥか」

「お前に名前を呼ばれるのは初めてだな」

「見つからないんだ」

「何が?」

「ファウストの死体が・・・全然何処にも無いんだ探しても・・・」

「・・・お前、救助活動に協力しているのはそれが理由か!?」

「救助活動?何それ?知らん、私が点けた灯を勝手に利用しているだけだろ」

「・・・・・まぁお前の身勝手で始めた事だが悪い事じゃないし放っておくよ

一つ解せないんだが、お前はファウストの事を好いて居るんだろ?」

「お前もだろう」

「・・・まぁそうだが

それなら何故ファウストを助けようとしなかったんだ?」

「・・・・・・・・・・・」

「・・・・・だんまりか、お前とこれ程話せた事自体奇跡だろう

所で死体が見つからないと言うのは如何いう事だ?」

「ファウストの死体が無いんだ、骨や歯の一欠片すら落ちていない・・・」

「そうか・・・死体を如何するつもりだ?」

「・・・・・・・・・・・

「もう良い、私はもう行こう、じゃあな」


シュルトゥは去り、メフィストフェレスは黙々とファウストの死体を探していた




一方、大王城の大会議室では王子達を含めた王国の重鎮が集まり始めていた


「これで全員ですかな?」


現王国近衛長パン


「いえパン殿、ヴォルフガング殿下がまだです」


現王国騎士団長ハンス


「お言葉ですがハンス団長、事態は一刻一刻と一国を争います

ヴォルフガング殿下を待っていては手遅れになるかと」


王国騎士副団長ヨナス


「スクラッチ殿、ヴォルフガング殿は二日待って欲しいと仰っていたのでしょう」

「ええ、そうですハンス団長」


次期王国近衛長にして勇者の仲間の国一番の槍の名手スクラッチ


「この状況、二日待とうと待たないと状況は変わらん、待つのが得策じゃ」


宮廷魔術師長シモン


「うー・・・うー・・・」


次期王国騎士副団長にして勇者の仲間、双剣のノートゥ


「落ち着きなよノートゥ」


勇者の仲間、流浪の銃士ヴァーグナー


「・・・グレートヒェン殿は来ないのか?」

「使いを家に出した筈ですが・・・如何なんでしょうか?」

「爆発に巻き込まれた訳でも有るまいし早々に来て貰わなければ困るぞ・・・」

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