第19話【聖女の解析】

「さて、如何するかね」


優雅に紅茶を飲むファウスト


「如何するって、やるしかないじゃない」


ガツガツとクッキーを頬張るグレートヒェン

彼等はドナウエッシンゲンに隠れているであろう

勇者ファウストの死体の一部を持っている者を探す為にゾルゲを騙して協力させようとしていた

だがしかし、ジマーンと言う予想外の人物が出て来たので困惑している

そこで脳内会議で如何するか話し合う事にした


「具体的な案は如何するのかね?」

「・・・状況を確認させて」

「状況は君が良く知っているゾルゲを騙そうとしたら

ジマーンと言う良く分からない伯爵が付いて来た、と言う所だね」

「ジマーンの同席を強引に決めたからジマーンと言う男は信頼されているのかしら?」

「ふむ・・・」


ファウストが指を鳴らすと、空間が四角く切り取られ目の前の風景が映し出される


「一旦目の前の情報を視覚化してみた、これから推察出来る事は?」

「と、言うと?」

「いや、君が考えるんだよ」

「ふむ・・・」


顎に指を付けるグレートヒェン


「・・・見ていても分からないわね・・・

さっきの会話から察するにゾルゲとジマーンの間に信頼関係が成立しているのかしら?」

「ふむ・・・如何だろうか、私には分からないな

だがジマーンの言葉『も、勿論です、秘密は厳守します』と言う言葉から

ゾルゲはジマーンを信頼しているが逆はそうではない、かな?」

「・・・まぁ娘位の歳の奴が上に立たれてはやるせないだろうし胸中察しますわ」

「何れにせよ、開口一番に本題を切り出したのは不味かったかな

世間話をして情報収集出来ない、次からは気を付けよう」

「そうね・・・いや、体を気遣う振りをしてちょっと話す位は良いんじゃないかな?」

「なるほど、ではその線で行ってみようか」


この間、現実では1秒にも満たない刹那の出来事


―現実―


「とりあえずかけて」


応接用のソファに着席を進められるグレートヒェン、ゾルゲも対面に座る


「・・・すこしやつれた?」

「判子を毎日押す作業にちょっと疲れたけどね・・・」

「魔王と戦っていた頃が懐かしい?」

「不謹慎だけどね、で?話って何?」

「・・・実は貴女、いえ貴女達の力を借りたいのよ、協力してくれる?」

「・・・どういう事かしら?」

「・・・妙な魔道具の噂、聞いた事無いかしら?」

「いえ、ジマーン殿は?」

「私も初耳です」

「でしょうね、実は王族の関係者や一部にしか知らされていない極秘事項でして・・・」

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