胃の章

第6話【少年の物語】

その少年は貧しい農村に生まれ

両親は亡く、祖父と共に貧しいながらも慎ましく暮らしていた

必死に小さな畑を耕して世話をして何とか食い繋いでいた

だがしかし、村を冷害が襲った


体の弱っていた祖父は倒れ、少年も少ない収穫で食い繋いでいたが

限界だった、世の中では魔王が討伐された等と言っているが

彼等の顔は暗い


魔王に殺される心配は無くなったが飢えて死ぬかもしれない不安が村を包んだ


哀れな少年の事等誰も気にも留めない

自分達の事で精一杯なのだ


そんな状況だが少年は村人達を責めなかった


彼の心中を埋め尽くすのは他者への怨恨では無く、唯一つ


『腹が減った』


『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』『腹が減った』



そんな彼の思いが天に通じたのか、彼が外を見ると庭先に肉塊が転がっているでは無いか


彼はその肉塊にかぶりついた


肉塊が何の肉だとか、火を通していないだとかは彼は一顧だにしなかった


彼は唯飢えを満たす為に肉塊にかぶりつき飲み干した


すると彼の目には素晴らしい光景が広がっていた

万物全てが美味しそうに見え始めた、地面、木の柵、石、家々

全てが食べ物に見える、彼は地面を喰らい始めた


腹が満たされ飢えが消え失せる、何と素晴らしい感覚か!!

彼は胸が躍った、今までの人生において味わった事の無い幸福感が彼を包んだ

そして彼は食い始めた、まずは地面、次に石、柵まで食べた所で満ち足りた彼は家に戻った

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る