第4話【勇者の来訪】
「ファウスト・・・?」
想い人の生首を抱えグレートヒェンは呟きを漏らした
そして強く、強く生首を抱きしめた
「ファウスト・・・ファウスト・・・!!・・・ファウスト?」
体にめり込んで行くファウストの生首
「あ、やだ・・・ファウスト!!」
慌てて体からファウストの生首を取り出すグレートヒェン
「・・・・・ファウスト・・・」
想い人の生首を前に想い人の死を実感するグレートヒェン
初めての恋、それが散る前に潰えた事を知るのだった
「・・・ファウスト」
想い人の首を手にした彼女は思った以上の熱の無さに驚いた
まさに生と死の区別を叩き付けられているかの様だった
「・・・・・」
彼女は意を決した、共に歩めないと言うのならば
「ファウスト・・・あの世でまた・・・」
彼女はファウストの生首を置いて愛用の剣を抜き自身に向けた
「それで良いのか?」
「!?」
唐突に聞こえるファウストの声
幻聴か、否、その声は目の前の彼自身が発したのだ
「ファウスト!?その状態で生きているの!?」
「質問に答えよう、生きている、訳が無い、先程君から命を分けて貰ったから喋れるだけだ」
「分けて貰った・・・さっき体に入って来た時に?」
「その通り、今この肉体は勇者ファウストの中の外法によって動くだけの
肉の道具と相違ない、その道具に魂が入り動き出したのだ」
「・・・どういう事?」
「質問に答えよう、ファウストは外法を習得していた
そしてファウストが死んだ、そして中の外法は抜けきっていない
故に体が外法によって動かされている、それだけならばまだ不完全
外法はあくまでも知識で有り、道具なのだ、使い手が適切に使わなければならない」
「・・・何を言っているのか分からないよ」
「相分かった、ならばこう言い換えよう、騎士グレートヒェンよ
君の望みを言うが良い」
「私の・・・望み?」
「自ら死を望んだ愚か者の外法が入ったこの死体
大抵の望みならば叶えられようぞ」
「!!」
グレートヒェンは目の前のまさに降って湧いて出て来た幸運に震えた
そして彼女はこう言った
「私は・・・貴方に生きて貰いたい・・・貴方と共に生きたい・・・
貴方と共に人生を歩んで行きたい・・・」
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