第3話 怖い顔と嫌な夢


 夢は夕食も入浴も終えて今まさに就寝に至るところだった。

 しかし、どうにも眠れない。

 寝ようとするとフラッシュバックするのだ。

 あの大岩、あの顔が。

(なんであんなの怖がってんだろアタシ)

 眠れないので友人のRAINレインで連絡する。

 ユメ>聞いてよミーコ、アタシ今日、変なモノ見ちゃってさー

 ミーコ>変なモノって? お化けとか?

 ユメ>あー、おしい

 ミーコ>聞いて欲しいんじゃないの?w なぜにクイズ

 ユメ>ごめんごめん、いや顔みたいなおっきな岩なんだけどさ

 ミーコ>ふーん。どこで見たのそれ

 ユメ>仏花井山の洞窟

 ミーコ>そこって立ち入り禁止じゃなかった?

 ユメ>あはは。まあちょっとねぇ……

 ミーコ>いけないんだぁ。せんせーにいってやろー

 ユメ>小学生かw

 ミーコ>超なついw

 ミーコ>えーとそれで。その大岩がどうしたって?

 ユメ>いや、なんか、怖くて

 ミーコ>怖い? あの怖いモノ無しと言われた、あのユメが?

 ユメ>なにその偏見! てか言ったの誰だし、こらしめてやらねば

 ミーコ>そういうとこでしょ

 ユメ>……なるほど

 こうして文字でやり取りしているだけで少し落ち着いてきた気がする。

 しかし、そこでふと画面がブレた気がした。

 ミーコ>それで。ユメはその大岩をどうしたいの?

 ユメ>? どうって、一応、記事にして文化祭に出すつもりだけど?

 ミーコ>本当にそれだけでいいの?

 ユメ>それってどういう意味?


 ミコ>縺カ縺」縺九??縺九>縲?縺倥e縺???縺?o縺ィ縲?縺イ繧峨″縲?縺溘∪縺ク

 

 思わずスマホを手放した。

 大岩よりもよっぽど怖かった、

 その文字化けが

 文字化けが読めてしまう事が怖かった。

 なにかの呪文のようだった。

 それよりも


 マーコ>おーい だいじょうぶかー?

 

 急速に現実へと引き戻される。

 暗い部屋の中、スマホの明かりだけが輝いている。


 ユメ>ごめん、寝落ちてた。

 マーコ>寝れないんじゃなかったんかい!(笑)


 RAINのログを見やる。

 そこにあったのは寝れないから世間話でもしようみたいな事しか書いていない。

 大岩のことなど一言も書いてはいなかった。




 辰雄はすぐさま家に帰ってすぐさま日常生活をパパっとこなして就寝した。

 理由はただ一つ。

 早く明後日になれ。

 ただその一心である。

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