第31話 戦闘の末に

 

 事件が未解決のまま2週間が経過ー

 いまだ解明されていない殺人事件だが、痕跡すら発見されない為、突然姿をくらました女性に事件性の容疑者として焦点を当てることになり、国中で指名手配犯として張り出された。


 手配書に書かれた内容はこうだ。

 スリムな体型にレザージャケットにレザーハット。

 ロングの茶髪。腰にはリボルバー。

 身長168cm程度


 女性の顔を見た者から顔の似顔絵も記されていた。


 * * *


 大きな白い巨塔が聳え立つ建物。

 国を守る最高警備本部だ。

 ここで働く者は国をまとめる大きな役割を持ったものだ。事件、事故、災害が発生した場合、すぐさま行動に移す。いわゆる警察だ


 最高警備本部に管理下を置かれていたシュルツ、エルシャ、ジェームズの3人は、突然姿をくらました女性と飲みの席に帯同していることを理由に、重要参考人として2週間の間、取り調べを重ねられていた。


 そして、第三者の目撃と、被害者との関係性は無関係だったとして、3人は無実となり、解放された。


 頑丈な白い壁と鉄格子で固められた外壁を出ると、晴天の空がうかがえた。

 なんて気持ちの良い日差しだ。

 こんな日に日光浴でもしたら気持ちの良いことだろう。


「う、うーん!」


 取り調べに取り調べの日々の中だった3人は、久々に外気を味わった。

 背伸びをするなり、ストレッチをするなりと、身体をほぐしにほぐした。


「さて、俺らは無関係。潔白が証明されたことだし、早速だが冒険のスタートだ!」


「まあ、その前に! 碌に装備もできていないこの身体じゃ冒険に支障をきたします」

「まずは武器や防具を揃えましょう」


「とは言ってもお金がねーだろ!?」

「エルシャが家をぶっ壊さなければな!」


「申し訳ありません・・・」


「それはもう済んだ話です」

「必要最低限に押さえましょう」

「旅を続ければいずれお金は入ります」

「今は辛抱です」


「・・・・」

「冗談だよ!」

「本気にすんなってー!」


 3人にとって酒場で出会った女性が何者なのかわかっていない。

 ただ、殺気の不気味さから自身らを越える桁違いの力を持っていることは確実視されていた。

 それが、現場で動けなかった理由だ。

 関わるべきではないその判断からその事柄をキッパリ忘れることにしよう。

 3人は酒場で出会った女性のこと、その恐ろしさ、詮索などしない。そもそも言葉にすることもなかった。

 一言も一文字も表情にも。

 2週間前の出来事がなかったように3人は武器や防具を揃える為、武器屋へ向かうのであった。



【NEXT】

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