第10話 サムライの国へ

 

 サムライを含む5人は胡坐をかいて座っている。

 工の腕はジャブラーの戦い時の様に再生していた。


 まずは、自己紹介から始まった。

 サムライの名前は貴虎たかとら、年齢は16歳だという。



 《貴虎 プロフィール》

 貴虎(16)ランク 不明

 サムライの国出身 

 所属ラン集:

 役割:不明

 能力:不明

 座右の銘:勝利こそ全て、その生涯に光を放つ



「我らサムライは山奥に城を構える部族。警戒心が強く、滅多に下界に降りてこぬ。じゃが、近頃、炎操る人間が我ら国の同胞を殺害した事件が起こった。それゆえ調査のため、我を含む10名ほどが下界へ偵察を行った。その際、我以外の者は皆殺されたのでござる」


 4人は真剣に話を聞いている。


「それだけではない! 殺された9人の同胞は、炎を操る人間とは別に、もう1人いた人間によって生き返ったのじゃ!」


 ベコラスは声を張り上げて言った。


「生き返った!?」


「我は死んだはずの者が生き返るなど聞いた事が無い。言葉の通り、9人の同胞は生き返ったが、魂などまるで無い。死体が生き返り、村人を斬りおったのでござる!」

「我も同胞を止めに入ったが、9人など太刀打ちできぬ。力つき、意識を失っていたのでござる」


「意識を失う直前に我は聞いたのじゃ。炎を操る者は国を乗っ取ると言っておった!」


 貴虎の話を聞いて、スアレスとシュテーゲンは視線を合わし、発した。


「おそらくそれは、能力者だ!」


「炎を操る能力、それに死んだ者を操る能力と言ったところか・・」


「その者を知っているのでござるか?」


「いや、分からない」


「そうでござるか・・・」


「一刻も早く国へ向かわねば、国が落ちてしまうかもしれん」

「あの力は脅威」


 工は敵の情報を出来るだけ得るため、貴虎に質問した。


「そいつらはどんな顔していた?」


「顔は見ておらぬ。全身白い羽衣に面を着用しており、長い嘴が付いておった」


「嘴・・?」


「考えられるのは、どこかのラン集か・・・考え方は色々あるが、どのみち調べる必要があるな」


 4人は視線を合わし、うなずいたー

 立ち上がり、工は貴虎に向かって言った。


「先程も言ったが、国を助ける事は約束する」


「へっ?」


「代価はいただくが・・」


 涙ぐむ貴虎。


「ただ、対する敵が同じだけだ」


かたじけない!」


「まずはサムライの国へ行き、頭と話す必要がある! もし敵が既にいるのなら、戦う必要があるからな」


 工はサムライの国へ行ってみたいという欲望も込めて、貴虎の手助けをする考えも、頭の片隅にあった。


 貴虎はゆっくりと頷いた。


 ※ ※ ※ 


 森林を駆けるオオカミ。

 オオカミに乗る工の背に、貴虎。

 右へ左へ道を指示する貴虎は、急ブレーキを求め、4匹のオオカミは静止した。


 4人は揃って、


「なんだ?」


「ここでござる」


 貴虎はガッシリ正面を向いたまま、ここが国だと主張した。

 4人は貴虎の見る方角を見るが、永遠に続く森林だけ、「ここからが国の境界線という事なのか?」と、4人は思ったが、貴虎は自身の刀を正面へかかげた。

 すると、鞘に描かれた龍の紋章が輝きだしたー


 輝きと共鳴するように、直径2mほどの小さな地割れー

 その地割れ穴から、W500mm×D2000mm×H3000mmほどの合金の扉が出現してきた。

 扉にへばりつく2頭の合金龍。

 長く太い身体を、扉に巻き付けている。

 それはまるで、サムライの国へ続く扉の門番のように、こちらに睨みを利かす。


 地割れと共に驚く4人は、3mの高さの扉を見上げた。


 鞘に描かれた紋章は、サムライの国特有なもの。

 国独自に鍛冶した代物で、刀を持っているサムライしか国へは入れない。完全的な鎖国化となっているのが象徴的。


「ここが入口でござる。さあ、行くでござる!」


 自然と開扉。


 神々しく輝く扉の先。

 扉の奥行きがたったの50cmにも関わらず、先へと続く道。


 4人は突如出現した扉に興味津々ながら、歩みを進めた。



【NEXT】

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