第2話 新規団員?

 

《帝都についてー》

 およそ530年前、多種族や他一族による領地の奪い合うが勃発する時代。

 ところが、数百年に1度の異常気象により草木や動物は枯れ、全ての種族や他一族ともに、食料がまともに取れない日々が続き、人々は餓死して行く一方であった。

 それでも戦いは止まず、血を流す連鎖は止まる気配がなかった。

 生産、飼育知識もそれほどなく、全ての者がわずかな食料の奪い合い、殺し合いを繰り返す形に変わって行った。

 だがある時、鉄の甲冑・鎧を着飾った初代と名乗る人物が現れ、鎧を外し自身の身体をナイフで傷つけ、血液を数滴、地に垂らした。すると荒れ果てた草木が実り、新たな動物が目覚めたという。

 それから、初代はこの地の神と崇められ、全ての者は一つにまとまり、争いはなくなった。

 その血を受け継ぐ現在9代と名乗る王が、この帝都の王となっている。

 現在までに9代目まで続いている。



 〈道〉

 帝都へ繋がる道を話しながら歩く工と女性。

 裸を見られ、工を殴ったこの女性ー



《ミイ プロフィール》

 ミイ(19)ランク15位

 帝都直属支配下にあるラン集(ランキング集団)

 所属ラン集:メラース

 役割:団長

 能力:ボワイユリスム・・・能力:感情を読み取る能力

 座右の銘:質実剛健


 《メラースについて》

 20名ほどの集団だが、ランキング上位の猛者たちが集まっている集団


 《ラン集について》

 そもそも、ラン集とはランキングを持っている集団の集まり、

 ランキングが高ければ高い程、強者と認められている。そのため、地位、名声、土地、権利が与えられる。

 ランキングは1位〜100位まであり、その他はランク外と見なされる。

 特にランクトップ10位内に入る者は特別で、年に1度のラン集世界会議にて、世界の動向をを左右する会議に発言者として参加でき、まとれば、一言で世界を変える事が出来る力を得る事が出来る。

 主に、ラン集内のランクトップの人物が団長を務め、各国から得た指令などをこなし、報酬を得ながら活動している。また、メラースのように国直属で雇われているラン集もいる。そのラン集は指令を得る他に、国の防衛などによって、報酬を得ている。また、ラン集自体を作らず、ソロで活動する猛者もいるという。



 《ラン集に入団するための2パターン》

 ①自身でラン集を結成する

 ②ラン集からスカウトされる



 工は道中、笑顔で話すミイから色々聞かされた。

 帝都のこと、ラン集について、メラース、ミイについても、勿論、自分の言える範囲のことは話した。

 なぜ、ここまで教えてくれるのかは疑問だったが、情報はある程度得ていた方が良いと考え、深く考えはしなかった。


 そして、帝都正門の前まで歩いてきた工は見上げた。

 高さ30mほどの巨大な門が待ち構える。


「でっけー!!」


「当たり前でしょ 帝都の門よ このくらい大きくないと国は守れないわ」

「ホント何も知らない田舎もんね」


 再び言うが、一つ一つの発言に苛立ちを見せる工だった。


 工は、この巨大な門を潜り帝都に入るものと考えていた。

 その予想は大きく外れ、脇にあるたった190cm程の扉が開き、鉄の甲冑を着た兵士1人出てきた。

どうやら訪問者を確認にする検問部隊のようだ。

 ミイがその兵士に歩み寄ると、


「今帰りました」


「お疲れ様です。ミイさん」


 すると兵士は、検問すらまともに行わず、ミイを帝都へ通した。

 まるで帝国の女王を通すかのように会釈しながら通した。


「ちょっとお持ちを」


 工はやはりな、と思いながらも兵士に止められた。

 普通に考えたら誰でも分かる事だ、この世界ではほとんど見る事のない、Tシャツに短パンという姿に、やはり疑問を持たれてしまった。

 工は、ここまですんなり入門したミイの同行にもかかわらず、やはり脇が甘かった。

 額から冷や汗が垂れたが、流石にここまで連れられて来た俺に、フォローの一言くらいかけるだろうと沈黙していたー


「あ、そいつハレンチ田舎男だけど、一応ちゃんとしているから大丈夫です。通して上げてください」


 ミイは仁王立ちしながら言った。


 するとミイは目が緩みバカにした表情をかました。

 工はやはりこの女は好かんと言わんばかりの、怒りの形相をした。



 ※ ※ ※



 〈帝都内〉

「これからどこに行くんだ?」


「あそこ」


 ミイが指を差したのは城だった。


「えっ・・・?」


「アンタをここに連れてきたのは、アンタを・・・」


 ミイが話そうとしていたのを、かき消すように青年が2人の間に割って入ってきた。

 体長2mほどの、白銀のオオカミに乗った青年が工に睨みを利かす。

 オオカミも毛を靡かせ威嚇する。

 少年は、オオカミと同じ白銀の髪色に長髪を後ろで束ねている。

 筋肉質な身体に、黒を基調とした着物姿で、腰には2丁のダガーナイフ。

 少年は、ダガーナイフに手を添える。

 これは、親を守る獣の習性のように目つきは鋭く尖っていた。

 工は、一瞬何が起こったのか分からなくなっていたが、


「シュテーゲン!!」


「・・・はっ!」


 シュテーゲンは、腰に添えたダガーナイフから手を引き、跪いた。

 何も発しず、ただ命令を待っている。

 工は動揺していた、あまりにも突然すぎる行動とミイから発する禍々しい殺気に少し前に笑顔で話していたミイとはかけ離れていた。


「シュテーゲン」


「はっ!」


「こいつには手を出すな」


 ミイの言葉に工は安心した表情を見せた。

 危うく斬り殺されるのかと感じた程、身動きが取れなかったが、硬直は治まった。

 工は、ミイに初めて少しの恩を感じ、やはり少しはこの女性の事を好きになれる気がしたと感じようとしていた。


「コイツをメラースへ入団させる!」


「へ・・・」


 工は開いた口が塞がらなかった。


「はっ! すぐに致します」


 工は、急展開すぎる話に困惑を隠せなかった。

 それに、シュテーゲンが言った準備とはどういう意味なのか気になっていた。

 すると、シュテーゲンは工を抱きかかえ、後からやってきた2頭オオカミに乗せられた。

 また、ミイもオオカミに乗り、3匹のオオカミは猛スピードで駆け出したー


 3人の表情はというと、冷静な表情のシュテーゲンに、笑顔でスピード感を楽しむミイ。

 そして、涙目で叫ぶ工だったー



【NEXT】


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