第2話 火曜日の大晦日
今日で今年も終わり明日からはまた新しい一年がはじまる。
12月31日大晦日。
僕は朝から窓全開で部屋の掃除をしていた。
この部屋に越してきてもう3年かぁ。あっという間だったよなぁ。
ベランダで洗濯物を干して部屋の中を改めて見てみる。
家具は越してきたときのままなんだけど、鈴羽の荷物が増えた分何だかリョータじゃないけど新婚さんの部屋みたいだ。
空き部屋だった部屋は鈴羽の部屋になってるし、ソファやクッションなども2人分になった。
まぁ2LDKの部屋で一人暮らしをしていた方がちょっと贅沢すぎたんだろうけどね。
部屋を一通り見渡してから階下を眺める。
さすがに大晦日だけあって人通りはまばらだ。部屋から見える商店街も大半はお休みでいつもの賑やかさはなく静かだった。
そういえば結局、杏奈ちゃんと梓ちゃんは2人で部屋を借りることにしたって鈴羽に聞いた。
リョータが引っ張り込まれるのは時間の問題だろうな。
誰もが羨むリアルハーレムなんだからしょうがないよね。
本人は戦々恐々としてたけど。
高山君とみちるさんは高山君が卒業して落ち着いたら結婚するらしい。
先を越されちゃうけどきっと幸せな家庭を築いていくんだろう。
高校生活もあと少しだけ、3年生の3学期は自由登校だから登校日以外は卒業式まで学校はお休みだ。
昨年中に進路が決まっている僕らは正直なところやることがない。
鈴羽の休みに合わせて年明けから実家に二、三日目かえるくらいしか予定がない。
時間もあることだし車の免許を取りに行こうかと思ったら鈴羽に止められた。
「皐月君は私の助手席でいいの!」だそうだ。
炊事洗濯、家事に料理、これ以上世話になるわけにはいかないらしい、と心の声がだだ漏れだった。
さてと大体掃除は終わったし御節取りに行こうかな。
僕はバイト先に注文していた御節を取りに行くことにする。
いくら僕でも御節を一から作ることはちょっと大変なのでバイト先に注文してある。
最近のコンビニの御節はかなりの出来なのでちょっと楽しみである。
「お疲れ様です、店長いますか?」
「いらっしゃいませ〜って皐月君か、店長〜皐月君来てるよ!」
「すいません、忙しいところ」
奥から店長が御節の箱を持って出てきてくれる。
「やあ皐月君、御節だね?はい、これ」
「ありがとうございます。店長」
「ところで皐月君は大学に入ってもバイト続けてくれるんだよね?」
「はい、そのつもりですよ」
昨今の人員不足はコンビニでも死活問題で24時間営業ができなくなる店もあるらしい。
僕は店長にお礼を言って家へと帰る。
部屋も片付けたし洗濯はしたしあと何かあったっけ?
「あっ年越し蕎麦買ってこないと」
そういえば年越し蕎麦を買ってなかったことを思い出して僕は近所のスーパーに出かける。
元旦も営業するのでお客さんの入りもいつもとさほど変わらず、いつかのちらし寿司を教えてくれたおばちゃんと世間話に花を咲かせて蕎麦を買って帰る。
鈴羽は実家に一旦帰ってからうちに来るのでまだもう少し時間がある。
僕は妹の
母さんに2日に帰ることを伝えたら4日頃までは来客が多く僕にも来客の相手をするようにと緋莉を通して返事がきたのだ。
あの家の来客だからなぁ・・・かつて家にいた頃の正月の来客といえば、他流派の重鎮や政治家、企業の重役等。
パターンからして門崎会長や喜多嶋さんに桂木さんは確実に来そうな気がする。
何ごともなければいいんだけど。
何ごともないわけないか。すぐに僕は思い直し苦笑する。
やれやれ、母さんは今度は何を企んでるんだろ?
きっとロクでもないことをさらっと押し付けられるんだろうな。
鈴羽が来るまで僕はそんなことを考えて若干憂鬱になってしまった。
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