第12話 金曜日夜のサプライズ



「どうした?皐月?浮かない顔して?」

「ああ、リョータか。うん、まぁ色々あるんだよ」

「ふ〜ん、でもよ、受験終わるまでは他のことは後回しにした方がよくないか?」

「そうなんだよな〜わかってるんだけど、何かモヤモヤしてて集中出来ないんだ」

10月に入れば推薦の願書締め切りがきて、あっとゆう間に試験で年内には結果がわかるわけだもんな。


「そういえばリョータは結局どうするの?」

「ああ、俺か?色々考えたんだけどな、やっぱ就職することにしようかと思ってな」

「やっぱり棟梁のとこか?」

「おう、立派な大工になってお前の家を建ててやるぜ」

リョータは、親父さんが大工をしていて昔から大工になりたかったらしい。専門学校も考えたみたいだけど結局は夢を実現させようと頑張ってる。


「僕もどうするか考えないとなあ」

「皐月は大学出てから家に戻るんだろ?何を悩んでるんだ?」

「戻り方だよ。こないだ母さんが来てさ、ちょっとあれこれ言われたんだよ」

「そっか、人様の家の事だから俺は何も言えないけどな、後悔はしないようにしないとな」

「母さんにも言われたよ」

リョータは、元気だせよと僕の背中を叩いてバイトがあるからと帰っていった。


リョータありがとな。

僕は叩かれた背中からちょっとリョータに力を貰った気がした。


さて、僕も帰るか。



家に帰ってきてもイマイチ落ち着かない。

勉強が手につかない程ではないのだが、集中できないというかなんというか。


「駄目だなぁ、理屈ではわかってるんだけど。こう・・・何て言ったらいいんだろうな、これ」

キッチンに行ってコーヒーを淹れて、深く息を吐き出す。


・・・・・・


よし!決めた。


受験までに一度、鈴羽のお父さんに会わせてもらおう。

結果がどうあれこんなモヤモヤを抱えて受験なんか出来ない。

ちゃんと気持ちを伝えてみよう。



もうすぐ鈴羽も来るだろからその時に聞いてみよう。

お父さんの都合もあるだろうし。


僕はコーヒー片手に鈴羽が来るまでリビングをウロウロと落ち着きなく歩きまわっていた。


7時・・・8時・・・

あれ?いつもなら7時過ぎくらいには来るんだけどなぁ。

連絡もないし、仕事が忙しいのかな?


僕はすっかり冷めてしまったコーヒーを流しこむ。

もう一杯作ろうとキッチンに立ったときインターホンの音が聞こえた。


今日は遅かったんだなぁ。

そう思って見たモニターには、鈴羽と、見知らぬ壮年の男性が写っていた。


これは・・・まさか?







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