第11話 水曜日の恋人たち
〜皐月と鈴羽〜
「ねぇ鈴羽。昨日の母さんのあれってどういう意味だったんだろう」
「うん。私も考えてたんだけど」
母さんが突然来て、色々あった翌日僕達は水曜日ということもあり学校が終わってからデートをしていた。
「門崎さんって鈴羽の会社の会長さんなんだよね?」
「うん。そうだよ、そうなんだけど・・・」
僕がこないだバイト帰りにあった変わった老人のことだよな、きっと。
「お母様は、会長と知り合いなんだよね」
「知りあいっていうか、何か上からな感じだったよね。確か門崎さんは先生って言ったから」
「私もびっくりしちゃった、皐月君のお母様って何者なの?」
「僕にもわからないよ。顔が広いのは確かだと思うんだけど、自分のことは言わない人だからね」
正直なところ、母さんのことはよくわからない部分が多い。小さい頃から自分のことは言わないし中学時代も家にいないことの方が多かったから。
「でも、反対されなくて良かったよ。母さんなら反対するかとも思ってたんだけど」
父さんが倒れて帰ったときに母さんと少しだけ話したけど、はっきりとは言わなかったからなぁ。
「そうね、問題は私のお父さんね。お母さんは全然賛成してくれてるんだけど、反対はしてはいないけどお父さんとは一度ちゃんと話さないと」
鈴羽のお父さんか・・・どんな人なんだろう。
「考えても仕方ないし、今日はせっかくなんだし遊ぼ?ね?」
「うん、そうだね。じゃあとりあえず何か食べに行く?」
「うん!」
僕と鈴羽はしっかりと手を繋いで夕暮れの雑踏に紛れていった。
〜リョータ&杏奈と梓〜
「あれ〜たしかに皐月の声が聞こえたと思ったんだけどなぁ」
「リョータ君、皐月君のこと大好きだもんね、妬けちゃうな〜」
「そうですよ〜ちゃんと私達のこと見て下さいね〜」
「いや、ちゃんと見てるし、ってか皐月が大好きって何?あいつは男だぞ」
「え〜だってリョータ君、皐月君のこと話してるとすごく楽しそうだし」
そりゃ、高校に入って1番気が合う友人だからな。2人に会わせてくれたのも皐月だし、何だかんだと一緒にいることが多かったからな。
「それはそうとリョータ君、私お腹空いた」
「あ〜私も!杏奈ちゃんは何食べたい?」
「う〜ん、そうだなぁ、パスタとか?」
「お〜パスタ。いいね!じゃあ駅地下のパスタ屋さんだね」
例によって俺は、2人に両サイドから抱きつかれて連行されていく。
周りの視線が痛いのにはもう慣れた。人間、慣れって怖いよな。
〜皐月と鈴羽〜
「皐月君、パスタ屋さんいっぱいだったね」
「このくらいの時間なら仕方ないかなぁ、いつもの喫茶店にする?」
「そうね、軽くでいいからそうしましょうか」
駅地下のパスタ屋さんは、結構な人気店なので少し早めの時間でも混雑していて順番待ちだった。
〜リョータ&杏奈と梓〜
「いっぱいだね」
「どうする?」
「ちょっと待てば空くんじゃない?ちょっとだけ待たない?」
「そうか?ならちょっと待つか」
駅地下の人気店だけあってこの時間でもいっぱいなんだな。2人がそう言ってるから仕方ない、待つことにするか。
〜皐月と鈴羽〜
「鈴羽、次どうする?どこか寄りたいとこあるかな?」
「少し寒くなってきたから冬物を見に行きたいかな?皐月君も冬物見ない?」
「そうだね、あんまり服とか買わないからちょっと見とこうかな?」
「よし!じゃあ私が選んであげるね」
「そう?ならお願いするよ」
街は段々とと秋から冬に近づくにつれてコートやブーツなどの冬物がショーウィンドウを飾りだしている。
見ているだけで楽しくなりそうな飾り付けがされている。
鈴羽にあれこれと見てもらいながらウインドショッピングを楽しむ。
僕も、店で色々と試着して出てくる鈴羽を見て楽しんだ。
結果、鈴羽は冬用にコートを一着とブーツを、僕は鈴羽に見立ててもらった上下一式を買うことにした。
「うん、うん。皐月君似合ってたよ。カッコ良かった」
「ははは、そうかな?鈴羽がそう言ってくれると嬉しいよ」
〜リョータ&杏奈と梓〜
「美味しかったね」
「おう、待った甲斐があったって味だったな」
「流石は人気店だね〜」
俺たちは、パスタ屋を出て駅前をぶらぶらと歩く。というか連行される。
「これからどうするの?」
「そうだな、カラオケでもいくか?」
「あ〜いいね〜リョータ君の歌声久しぶりに聴きたいかも」
「そうですね〜じゃあカラオケ行きますか〜」
こうしてカラオケに連行された俺はリクエストを延々と2時間歌わされる羽目になった。
〜皐月と鈴羽〜
帰宅してから僕と鈴羽は、のんびりとお風呂に入っていた。
「寒くなってくるとお風呂が1番だね」
「え〜皐月君、ジジくさくない?それ」
「そうかなぁ?鈴羽と一緒に入るお風呂が1番だよ?」
「・・・それはズルいです」
これからのことも色々考えないといけないけど、今日はゆっくりとしたこの時間を楽しむことにした。
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