第1章 エピローグ



「さてと、いくか」

 今日は水曜日。いつもの公園に行く日だ。


 僕は鞄を持って席を立つ。


「皐月〜もう帰るのか?」

「うん、今日は水曜日だからね」

「ああ、そうか、ほいじゃ俺も行こうかなっと」

 リョータとそんな話をしながら教室を出る。


「うわっ何か降りそうな雲行きだな」

「今日は夕方から雨予報だったよ」

 空はあいにくの空模様。


「そういえばリョータのほうはどうなんだ?上手くいってるの?」

「う〜ん、上手くと言えば上手くなんだが、なんつーかその、幸せ独り占めみたいな?」

「はぁ、相変わらずか」


 そんなリョータと校門で別れ僕は公園へと急ぐ。

 時刻は5時半すこしすぎ。


 公園の噴水の前、ベンチがぐるりと並んでいる。


 ベンチのひとつに、腰掛ける女性。

 栗色の髪に切長の目の美しい女性。


 ポツリポツリと雨が降り始め、彼女は憂いの表情で空を見上げる。


 僕は傘を出しながら彼女に歩みよる。


「入りますか?」

「ええ、ありがとう」


 僕等はお互い顔を見合わせてくすりと笑う。


「さあ、どうぞ」

 傘を持つ僕の手に彼女は手を重ねる。


「お礼に喫茶店でもいきませんか?」

「よろこんで」


 僕等は寄り添い一つの傘で公園を歩く。


「ふふっ、いいわね。こうゆうのって」

「うん、今日は傘を持ってきてよかったよ」


 雨足がすこし強くなり僕は彼女を引き寄せる。

 傘をすこしだけ深くしてそっとキスをする。


 今日は水曜日。




 僕は毎週水曜日、少しだけ遠回りをして帰る。


 彼女に会うために。




 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 あとがき


 こんばんは。揣です。

 これにて第1章は終了となります。

 皐月君と鈴羽さんの物語は、第2章に続いていきます。

 しばらくは構想を纏めますので再開は3月に入ってからになりそうです。

 見捨てずにお待ち下さい(笑)

 お読み頂きありがとうございました。


 追記

 間にリョータ君の閑話を挟もうかと考えてます(//∇//)










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