魔女と大捜索6
ウォルタとフレイは、ルリを無事救出し、マリーたちと合流した後、森を出た。
「みなさん、本当にありがとうございました!」
ルリはガープの皆の手当てを受けながら、ウォルタたち全員に何度も礼を述べた。
「礼なんていいのよ。あなたが無事でよかったわ」
ウォルタはルリに向けて微笑んだ。
「だな!」
フレイも笑顔でそう言った。
「……あの、ウォルタさん」
ルリが自身のカバンから何かを取り出した。
「何?」
ウォルタは尋ねた。
「ウォルタさんって魔法銃使いでしたよね。これ、お礼ってわけでもないんですが……」
ルリはウォルタにカバンから取り出したものを見せた。
「……これ、魔導石じゃない!」
「はい、私のギルドが以前、見つけたものなのですが。その魔導石、どうやら魔法銃使いの方が一番効果を引き出せるようなものらしくて。私の仲間には銃使いはいないですし、よかったら、お使いください」
ルリはそう言って笑顔でウォルタに魔導石を渡した。
「ありがとう。大切に使わせていただくわ」
ウォルタは受け取った魔導石をバッグにしまった。そして一行は、グルの森を後にした。その帰り道、ウォルタはフレイに尋ねた。
「……ねぇ、フレイ、以前、ポカの森で戦ったポカツリーの事を覚えてる?」
「ああ、覚えてるよ。それが?」
ウォルタはルリから聞いたことを話した。ルリの剣がフレイと同じように何ものかによって盗まれたこと、その剣が同じく魔物の体に刺さっていたこと、同じく魔物が剣の持ち主と同じ魔法を使ってきたことを。
「……つまり、あの時、ウチの剣もルリの剣を盗んだ奴と、同じ奴に盗まれたってことか」
「ええ、間違いないわ。何が目的かは知らないけど」
「でも、意外だな、ルリの奴ああ見えて、森の中で居眠りするなんて」
「ルリは居眠りしてないわよ。森で居眠りするのはあなたぐらいよ」
「え、そうなのか?」
「そうよ」
ウォルタはため息混じりにそう答えた。そして、その二人の姿を遠くの木の上から眺める者がいた。
「……実験終了。ギルド……ヴィネアのウォルタ、フレイ……不安要素に確認……帰還する」
そう言うと、紫色のサイドテールの少女は姿を消した。
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