第16話 魔女と秘密の特訓2
「……ここが、修行場」
修行場と言われる場所に来たウォルタは、そこら中に置かれている木製の、トレーニング設備と思わしき物たちを見回しながら言った。
「さて、特訓開始と行きたいところだが……どうだフレイ! これまでのお前の特訓の成果、ウォルタに見せてあげてはどうだろうか?」
サナがフレイにある一本の剣を渡して言った。
「分かった! ウォルタ、見てろよ。今からあそこにある鉄の塊をこいつで切るからな」
フレイが少し離れた場所に置かれた鉄塊を指さして言った。
「切るって……あの鉄を⁉ それにその剣いつものじゃないじゃない」
ウォルタが首を傾げながら尋ねた。
「ああ、この剣は特訓用の特製なんだ。まあ、見ててよ!」
そう言うと、フレイは鉄塊の目の前に立ち、握った剣に魔力を込めた。
「はぁっ!」
フレイはそう叫ぶとともに、鉄塊に斬撃を浴びせた。鉄塊には大きな切り後が残った。
「……あぁ、やっぱりまだ真っ二つとはいかないかぁ」
フレイは鉄塊に残った切り後を見て、肩を落とした。
「嘘……剣で鉄を切ったの」
ウォルタは信じられないと言った表情をした。
「ハハハ! これが特訓の成果よ! じゃあ、特訓を始めよう! フレイはいつも通りのメニューをこなしていてくれ! 私はウォルタの指導にあたるからな!」
「おう! 師匠! ウォルタ、頑張れよ!」
「え、ええ……しかし、鉄を切れるようになるなんてどんな特訓よ」
ウォルタはそうこぼしながら、サナの後へと着いて行った。
「特訓の内容はいたって簡単、魔法銃であそこにある的を射抜くだけだ!」
場所を移動したサナが、遠くの木に張り付けられた円形の的を指さして言った。
「そ、それだけ?」
ウォルタは拍子抜けした表情を見せながらも、腰のホルスターから魔法銃を取り出そうとした。
「おっと、ストップ! 使っていいのは私が用意した、この特製の魔法銃だけだ!」
サナはそう言うと、ウォルタにその特製の魔法銃を渡した。
「……特製、フレイもそう言ってたわね。まあ、別に構わないけど」
ウォルタはその魔法銃を受け取り、的に向けて構えた。
(こんなの初歩中の初歩じゃない、やる意味があるとは思えないけど)
ウォルタはそう思いながら、いつも通り銃に魔力を込めた。すると、手元の銃が大きな音を立てて爆発した。
「あっつ! ちょっと、どうなってるのよ⁉」
ウォルタがサナの方を振り向いて怒鳴った。
「ハハハ! 驚いたか! 言っただろ、その銃は特製だと!」
「特製ってなによ! 爆発するってこと?」
ウォルタはサナに詰め寄った。
「半分正解だ! その魔法銃は私が作った、魔力のコントロールを鍛えるためのものでな! 必要以上の魔力を銃に込めると爆発する仕組みになっている!」
サナは笑顔答えた。
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