魔女と悪霊2

「屋敷内は特に変わった様子はなさそうね」


辺りをライトで照らしながら、ウォルタが言った。


「なあ、ウォルタ、悪霊ってどの辺にいるもんなんだ?」


フレイが同じく辺りをライトで照らしながら尋ねた。


「そんなの知らないわよ。依頼書に詳細は書いてなかったわけ?」


「んーそこまでは……でも悪霊が出現するときには、必ず何か周りの物が空中に浮くって書いてあった」


「……ポルターガイストってやつね」


ウォルタがそう言ったとき、突如、棚の上に置かれた花瓶が音を立てて揺れ始めた。


「ちょ! 何よ!」


ウォルタは慌てて腰のホルスターから魔法銃を抜いた。


「悪霊か⁉」


フレイも剣を取り出して構えた。すると、その花瓶は空中に浮遊し、ウォルタの方に高速で飛んできた。


「こいつ!」


ウォルタが銃の引き金を引き、放たれた弾丸が花瓶に命中し、花瓶は木っ端みじんになった。しかし、その中の水だけが空中で球体となって、再びウォルタに襲い掛かった。


「ぶっ!」


ウォルタは球体の水をかわすことができず、ウォルタの顔は水浸しになった。


「……随分と器用な真似するじゃない、おかげ様で怒りが恐怖を上回ってくれたわ」


「大丈夫か、ウォルタ?」


そう言って、フレイはウォルタの顔を覗き込んだ。そしてそこにあった鬼の形相を目にし、フレイは後ずさりをした。


「フレイ! その悪霊、何としても引きずり出して、一発お見舞いしてやろうじゃない!」


ウォルタは濡れた顔をタオルで拭くと、大きな足音を立てながら歩き出した。


「……お、おう! ウチは最初からそのつもりだ!」


フレイは恐る恐る、ウォルタの後に続いた。

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