六月 犯人 (3)


泰介は犯人は野球をやっている可能性が高いと推測した。

泰介の部屋は二階にありそれに広い庭があって、ガラスの割れ口は真下からは投げられたとは言えないものだった。そして、

窓ガラスが割れるほどの威力の石を投げられるのはボールを使って筋肉を普段から使っている人間だと睨んだ。

さらに自分の家がなぜわかったかは、可能性が二つある。

一つは知り合いの人間

もう一つはストーカー

けどストーカーの可能性は極めて低い。

そして知り合いには野球をしている人間は沢山いる。


知り合いだと泰介は睨んで、次は誰がやったかを考え始めた。

知り合いで自分の家を知っている人間は沢山いる。

その中で野球部の人間は

身長の低い黒川とクラスメイトの田中だ。

田中は学校で自分の家の場所をさらし、

黒川は前に遊びにきていた。

今日は田中が自主練して帰ると言っていたことを思い出す。

今日は雨降ったのに石はほんの少ししか濡れていない。

きっと部室の前の外の石を取ったのだろう。

部室の前の外にはプラスチックの天井が付いているので、石が濡れることはない。

投げた時に少し濡れたのだろう。


これらから犯人は田中だと泰介は考えた。


泰介は窓ガラスの破片をジャリジャリと、

箒で取り除き始めた。

泰介は他にも様々な可能性を考えたが、

最も可能性が高いのが田中だった。


次の日

今日は泰介の嫌いな晴れの日だった。

泰介は田中に昼休みに話を聞きに行った。

人目のつかない男子トイレに入り、

泰介は田中に行った。


「これやったのお前だろ」


泰介はジップロックにあらかじめ入れておいた石とれいの例の紙を田中に見せた。


「は?なにこれ?」


田中は少し同様した。


「お前じゃないの?」


「ちげーしこんなのかかねぇよ!」


田中は鼻を赤くして行った。


「本当か?」


泰介は田中の目に視点を合わせた。


「なんだよ。」


「嘘だな。

人間って嘘をつくと目を合わせられなくなるってどっかで読んだ。

田中、お前の黒目が今少し動いた。」


「お前そんな情報信じてんのかよ

そんなんでたらめにきまっ…」


「あのな、これは立派な犯罪なの。」


田中はきょとんとした。


「これを警察に提出して、指紋やらを取ったりしたらすぐに犯人が見つかるんだよ。

犯人が手袋をかけたとしても無駄だよ。

警察はいろんなものを調べるんだから。

この町の防犯カメラとか、町中の聞き込みとかもするしね。」


「いやそこまではしないだろ」


「てかおれんちカメラついてるし」


田中は目を見開いて数秒黙った。

そして口を開けた。


「…そうだよ俺だよ」


「なんでこんなことを?」


「…」


「教えろよ」


「…嫉妬だよ。みこと、お前のこと惚れてるからおれ、

腹が立ってこんなことをしたんだよ。」


「へー」


「お前はいいよな!頭も良くてルックスもあるし、運動もできるしよ…」


「そういえばお前野球で一番下手くそって阿久沢が言ってたな。」


田中は泰介を睨んだ。

そしてこう言った。


「…自白したから警察にはとどけんなよ…」


泰介は笑った。


「防犯カメラなんてうちにはねーよ!

引っかかってやんのー」


「は?」


「でも残念。今のぜーんぶ録音させていただきました。」


泰介はポケットから携帯を取り出した。


「証拠は揃った。

警察に届けよう。」


「あ、おい待て!

テメェ嘘こきやがったのか!」


田中はブチギレた。


「嘘じゃないよ?

俺の部屋には星を撮影する専用のカメラが付いているんだ。

お前が勝手に勘違いしたんだろ?

あとおれは罪を認めたら警察に届けは出さないとは言ってないし

あとお前うぜぇからこのクラスからは消えてもらうよ。

転校かな?

成績も悪いし、他の中学校で頑張ってね!」


「ふざけんなぁぁ!!」


田中は泣いた。


「今まで積み上げてきたものが意味ねぇじゃん!せっかく、せっかく合格したのに!

プロを目指すために!」


田中は膝をついて、トイレには田中の泣き声と昼休みのざわざわがきこえている。

泰介は言った。


「お前は馬鹿だ。

後先考えずにただまっすぐ生きているだけだ。

そんな人間が今の社会では生きれるとおもってんの?」


「わかってるっつうの!

黙ってろお前は!

お前からは説教なんて聞きたくねぇ!」


田中はやけになって叫んだ。


「田中、聞け。

録音はしていない。」


「は?」


「実は録音なんてしていない、」


「…は、本当か?」



「あぁでも田中、

お前は後先考えずにただやりたいことしか目を向けていない。さっきも言った通りにそんな思考では今の社会では生きていけないぞ。

…しっかり考えて行動しろ“ゴミ人間’’が。」



田中は唖然とした。

泰介はそのステ言葉を言ったあとトイレを出て行った。


泰介は録音して田中を転校させても利益が無いと考えて田中を救ったのだ。



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教室に入ると、


「どこ行ってたんだ?」


しんじがそう言った。


「秘密」


泰介はにやけながら言った。


「なぁしんじ。

お前みことのこと、どう思う?」


しんじはにやけながら言った。


「なんだ好きなのかぁ?青春やなぁ〜」


「ちげーよ!

ただ…なんかこう…やっぱいいや」


しんじは疑問に思った。


「なんだお前?」


泰介はみことがこの学校の“陰謀’’について

なにか知っているのかもしれないとかの時はなんとなく考えた。

泰介にはこの学校に来たもう一つの理由がある。

それは従兄弟の雅臣がこの学校の陰謀について深く関わっている。

それをあばくべくこの学校へと泰介は来たのだ。


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ゴミ人間 GARA @36363609976433

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