デバイスの保護

さあ、出発だ。なんてやる気のあることも言ってられないが、行くしかない。そんな何とも言えない複雑な気持ちを持ちながらも出発した。

俺のグループはA班。全部でD班まであるらしいが、一度に全て送りこんだらただ怪しまれるだけ。それは分かるが、よりによって1番最初に出発するのはA班だった。

D班まで1カ月程あいだが開くにも関わらず、任務期間は変わらない。少なくとも、平等ではない。

A班のメンバーは サトー、トキタ と俺の3人だ。所詮スパイに約3人×4グループの計約12人もいらないだろとは思うが、それが本社のやり方なのだろう。数の暴力というやつかな。


AWD側の検問を抜けると、イントルのシェアエリアはすぐだった。しかし、ここが最初であり最大の難関だった。イントル側の検問を抜けるには、もちろんAWDからの刺客だとバレてはマズイので観光客などを装う必要があった。

しかし、この世界の中でイントルが支配しているのは全体の約80% 。

さすがにこの広大なシェアエリアから出たいという人はよっぽど少なく、観光客というには無理があった。

しかし、それ以外に方法も無いので観光客として検問を抜けようとした、その時、俺だけゴツい黒スーツのやつらに腕を掴まれた。

どうやら、この旅に備えて市場で買っておいたイントルのTシャツが10年も前のものだったらしく、検問官にとってはとてつもなく異彩だったようだ。

ああ、なんてバカなことをしてしまったのだろうと、相当後悔した。


連れて行かれた一室では、持ち物を全て雑に放り出された。その間、メンバーの他2人は何をしていたのかも分からないが、俺はずっと「終わった…」とばかり思っていた。しかし、ここでめげてはいけないと、何か悪いか?というような強気な態度を続けた。

さらに、検問を受けることも見なしてか、どこから持って来たのかも分からないが、渡された持ち物全てはイントル製のデバイスになっていた。

なんと、これらのことが功を成し、俺は2時間程で検問を抜け出ることに成功した。


しかし、抜け出た先にメンバーの他2人の姿は無かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

CPUのCPUによるCPUの為のCPU。 @kkk556

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ