第116話 勝手に自分でポイント2倍、読み返しデー


 カクヨムも含めたweb小説サイトは、色んな作品が溢れていてとても面白いです。自分の好みの作品を探して、読んで、反応も返せる。これは現代だから出来る新しい読書体験と言っても良いと思います。


 紙の本と違うことばかりで一長一短あるのですが、最近、web小説のある特徴を最大限に楽しめていないのでは無いか、と考えるようになりました。


 それは、更新速度が速いこと。


 これは特定の一作品に限ったことでは無く、フォローをしている作品が多くなるにつれ、読むのが追いついていないなと感じる様になりました。元々、読むスピードも理解も速くないので、読むのに時間がかかるんですよね。おまけに記憶力も低いと来た。


 すると、読むのは良いのですが、一過性の感想に過ぎなくなってしまうというか、どんな話だったのか朧気になってしまうことが多いです。せっかく、色んな方の様々な考えや、経験や、表現の源泉に触れているのに何だか素通りしてしまっているようです。


 これではもったいない気がする。


 そう思って、最近は寝る前に昔に読んだ本を読み返しています。読み返してみるとあら不思議、内容を全然覚えてないんですよね。読んだはずの本が新鮮に感じられてとても面白いんです。おかしみを感じる。


 うん、おかしいよ。

 読んだはずなのになぁ……。

 

 紙の本ですら、中身を全く理解していなかったことが分かったので、カクヨムでもある方のエッセイを読み返してみました。


 すると不思議や不思議。これまたハートは付けているのに覚えてないんですよ。(失礼)

 内容はとても面白いんです。でも、覚えていない。こんな素敵な話を読んだんだ、と思いながら読み進めました。ずっと新鮮でしたね。改めて記憶の不確かさと、人様の気持ちを理解するまでに必要な時間の膨大さに気付きました。


 遠い過去に読んだ作品であればあるほど、新たな気持ちで読めると思います。そして、目に飛び込んでくる文字列にジャメヴ(※1)を感じながら、もう一度誰かの考えや物語にその身を漂わせてみて下さい。あの時とは違った体験が出来るかもしれません。


 僕は実際に体験しました。

「すごい! めちゃくちゃ共感する!」

 と感じたので、コメントをしようと既にハートのついている記事のコメント欄を開きました。あれ、Askewって人がコメントしてる……。


 自分の鳥頭にほとほと呆れましたが、なんて書いたかも覚えてないので、それすらも面白く読めました。おめでたい頭をしています。しかし、こう考えると、読み返しはただ内容をより深く掬うだけでなく、自分の思考の振り返りにも威力を発揮するのですよね。一度で二度おいしい。勝手に自分でポイント二倍デーでした。

 ちなみに、今日は僕の誕生日なので、ポイントは三十二倍です。めちゃくちゃポイントが溜まりました。溜まったポイントは後でいぶし銀な渋さと交換出来るのだとか。楽しみです。ただ、溜めすぎると独特のニオイを発し始めるらしいです。怖いですね。


 皆さんも隙を見て、お好みの方の作品を読み返しては如何でしょうか。うっかり屋さんは毎日ポイント二倍ですから。とてもお得だと思いますよ。






※1 ジャメヴ jamais vu

未視感のこと。対義語の既視感はデジャヴと呼ばれますが、デジャヴに比べてこちらの知名度は低い気がします。どうしてでしょうか。デジャヴだと何だか予知人みたいでカッコいいけれど、「あ、これジャメヴ」とか言うと単に鳥頭じゃないかと疑われるからでしょうか。そんなことは無いですよね。知っているんですよ。でも、初めてのようなんです。「やべー、皆知ってんのに俺だけ知らねー」って時に使ってはいけませんよ。「それ、ジャメヴ」とかね。ダメですよ。

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