第115話 体型を維持する唯一の方法
アメリカに来た友人はみな、口を揃えて言います。
「あれ、意外と細いな。車はデカくなったけど、身体はデカくなってないね」
上手いこと言うやんか。と、内心感心しながら、少しの安堵を感じます。
やはり、こちらの食生活は人の体型を変えようとしているとしか思えないほど豪快で、スケールが違います。慣れないステーキハウスで「初めて来たなら
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例えるなら、見知らぬ土地で道に迷って逆走した軽自動車が事故を引き起こし、10tトラックの荷台に積まれていた藁やポテトが何かの拍子で零れだして、近くの農場から逃げてきたロバたちが路上でポテトをむさぼるなか、農家のおっさんが頑として動かないロバを引き戻そうとしている感じです。つまり、腹の中がカオスということです。
料理そのものが何であれ、こんな量を食べたらそりゃ太るわ。と打ちひしがれながら初めてのステーキハウスを後にしました。もちろん、果汁、卵黄、コンデンスミルクたっぷりの大きなキーライムパイを食後のコーヒーで流し込んだ後に、です。
アメリカの外食(特にディナー)の量を目の当たりにして、「このままではいけない」と脳みそが赤信号を灯しました。
僕を唯一、裏切らなかったもの――体脂肪――が謀反を起こす可能性が出てきたのです。
学生時代から体型にだけは気をつかって来ました。だって、一番仲良くなりたかった身長はすでに僕を裏切っていますし、髪は長い友達と言いますけれども、いつ僕を裏切るか分かりませんから。織田を裏切った浅井氏のようなものです。その中で唯一信じられるもの。それがお市の方……。違った、体脂肪(体型)だったのです。
高校で部活(バスケ)をしていた時、体脂肪率は6~8%をふらふらしていました。その過去の栄光があるだけに、目も当てられないようなわがままボディにはなりたくない。体重すらコントロール出来なくなったら、後に残るのはひねくれた性格のみ。それはマズい。カッコよくない。そんな危機感に後押しされて、僕は食事を変えました。
朝は冷凍フルーツにプロテインを掛け、豆乳で溶いて食べるお手軽ご飯。お昼はバナナかリンゴ。夜は炭水化物は口にせず、納豆と肉野菜炒めをメインに。
週末には3時間ほどテニスをして、程よく汗を流します。圧倒的に運動量が足りていませんが、しないよりはマシでしょう。
上記を実践したところ、何とか代謝が摂取量を上回っているようで、東京にいた時より体が締まりました。
ただ、これが続いているのは、「食べたいものはその時に食べる」を心に決めているからですね。「誘われたら断らない」(※1)の信条は守るので、先輩とのご飯や仕事のお付き合いは必ず行きます。そして、炭水化物だろうが、デザートだろうが食べたいときは食べます。家でもパスタやうどんが食べたければ特に我慢はしません。
そんな気楽さが一役買っています。ガチガチに我慢を強いるものなんて続きませんから。辛いことからは逃げたい。そんな当たり前のことから目を逸らしてはいけません。
皆さんも実践して見てはいかがでしょうか。もちろん、愛するパートナーが作ってくれた料理を食べないのは頂けません。その場合、この脂肪も愛の結晶だと発想を転換させましょう。
あ、唐揚げとビールは別腹ですから。はい。問題ありません。念じて食べればヘルシーです。揚げればカロリーは蒸発するのでヘルシーだ、と尊敬する偉い人も言っていました。ちなみに、ビールも納豆と一緒で発酵食品ですからヘルシーです。可愛い可愛いセレビシエちゃんが頑張って糖をアルコールに変えているんですから、健康に悪いはずがありません。
一番大切なことを繰り返します。
食生活を見直すよりも、ヘルシーだと信じて食べること。
これが体型を維持する唯一の方法です。
※1 誘われたら断らないので、会食や外食が続く時は強く「これはヘルシーだ」と信じ込ませます。するとどうしたことでしょう。ご飯が更に美味しく感じます。
https://kakuyomu.jp/my/works/1177354054888425664/episodes/1177354054889251026
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