第109話 僕は女々しくない、男らしくないだけだ
僕は「女々しい」と言われることがままありました。特に姉に。これを検証するために、まずは己の雄々しさを考えてみましょう。
やっぱり雄々しさといえば、男らしい見た目に心の強さでしょうか。身長は185㎝以上、大学時代はアメフトに打ち込み筋骨隆々の体躯には相手を引き摺ってタッチダウンする力強さがある。また、心の強さは鋼のよう。不純物の無いしなやかな刀身のような切れ味で困難を切り裂き、女性を導く頼れる男。雄々しさとはこんなイメージでしょうか。
上記の全て僕にはありませんね。風が吹けば飛ぶような小柄な身体、優柔不断かつ意気地のない貧弱な心。雄々しさを感じる所はありません。うさぎのオスの方がオスらしいでしょう。
じゃあ、女々しいのか。これにも疑問が湧きます。
文字通り、女々しいとは女性らしいこと。ただし、男性に使われた時は意気地のないとか、思い切りが悪いという意味合いになります。つまり「女性らしい」ではなく、「男らしくない」を示す言葉になります。決して、女性は意気地がない訳でも、思い切りが悪いわけではなく、男らしくない男は男ではないという考えが透けて見えてきます。これは本来の意味ではない。
確かに僕には男の生存本能が欠けています。なぜか女子会のお誘いを受けたこともありますし、安心感があると言われたことがあります。襲われなさそうという意味で。はい、そうですね。その通りです。そんなムードを作れる気がしません。甘いものが好きなので女友達は歓迎です。有名なパティスリーとか男一人でイートインしていると奇異の目で見られるので有難い。ただ、そこに恋愛感情が生まれない所が男性的では無いのでしょう。
しかしながら、本来の意味で僕は「女々しくない」。
これは確実ですね。女心が分かっていれば、掌握するのも簡単でしょうから。分からないからこそ、この有様なのです。男らしいのは遺伝子に刻まれた毛髪の行方くらいのものでしょうか。そんなものいりません。
恋愛感情のある子と仲良くなるにはどうすれば良いのでしょうか。男らしさを出せばいいのでしょうか。それはどこで売っているのでしょうか。ドルで買えますか? カードも使えますよ。甲斐性があることが男の特徴なら、男らしさを買ったら甲斐性もついてくるはずですよね。めっちゃお得やん。おかしいなぁ、売り切れちゃったのかな。男らしさ。
まぁ、いいや。兎も角、僕が胸を張って言いたいことはこれだ。
僕は女々しくなんてない! 男らしくないだけなんだ!!
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