第92話 サニーサイドアップ
メンタルが強い人は本当に尊敬します。羨ましいです。
小さいころから怒られないようルールを守り、人の顔色を窺って、被害妄想的に心情を推し量っていました。エゴグラム(※1)ではぶっちぎりでACが高くなります。その結果に納得するのもいつものこと。
今でもよく落ち込みますが、僕は落ち込んだ時、目玉焼きを作ります。
卵(※2)は完全栄養食であり、バランスが取れているのはもちろんのこと、汎用性の高い万能食材。卵から作られる料理やお菓子は数知れず、殻でさえ様々な工業用品に転用されています。昔は庶民には手の届かない高級品でしたが、今や食卓に欠かせないものになった歴史にロマンを感じます。そして、何よりもイースターで用いられるように復活の象徴なのです。
そんな卵を目玉焼きに使う。なんて贅沢なんでしょう。簡単につくれて美味しく、料理するほど成長したと勘違い出来るんです。また、透明な白身と共にプルンとした黄身がフライパンの上で寝そべり、白くなっていくのを見るのが好きです。癒されます。
……などとつらつらと後付けの理由はあるのですが、そもそものルーツは多分
小さいころ母と一緒に作った目玉焼き。普段は立つことの無いキッチンで油を引いて、殻が入りながらも卵を割り、塩と胡椒を振りかける。母親が「上手、上手」と不格好な目玉焼きを褒めてくれたのを覚えています。
何も出来ない自分でも目玉焼きは作れるようになったんだなぁ。
そんな淡い記憶に
「俺は滅びぬ! 何度でも蘇るさ!」(※3)
酒に酔いながら目玉焼きの乗ったトーストを掲げると、そんな愚行に身を投じている自分が馬鹿馬鹿しくなってどうでも良くなります。是非、お試しを。
※1 エゴグラムによる性格診断 http://www.egogram-f.jp/seikaku/index.htm
タイプcbbaa (Free ChildとAdapted Child最優位)
「生き方が、しどろもどろと云おうか、支離滅裂と云おうか、その言動に整合性の欠けた生き方をしている事だけは事実でしょう――」(説明より引用)
当たっています。何度も主張していますが筋なんて通っていませんから。要するに聞き分けの良いわがままな子供。
※2 卵について
ちなみにアメリカの卵の賞味期限は1ヶ月半くらいあります。もちろん生食はしません。加熱前提の期限ですね。ただ、少し高いですが生食用の卵も売っているので、TKGを食べないと死ぬ人もアメリカでは生活できますよ。ただTKGのタレは見たことない、かも。あれがないと死ぬ人は死にます。
※3 何度でも蘇るさ!
有名なロムスカ・パロ・ウル・ラピュタさんのセリフをもじったもの。哀れなキャラであればあるほど馬鹿馬鹿しさが増すので、お好きなキャラでどうぞ。
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