7月 ひねくれの記憶
第91話 自己開発ってなんか苦手
皆さんは新入社員研修とか受けましたか? 僕の会社では三年目までありました。毎回思うのですが、やっぱりなんだかあの雰囲気が苦手なのですよね。外部講師の熱意が、志が低い人間にはなんかむずむずします。理想の自分ってなんだ。こうありたいって人柄はあるけれど、それは仕事に関係ないよ。それがズレているから自己開発の場に馴染めないのでしょうか。
自己分析と言えど、僕は「自分のことすら一生分からない」と思っていますし、考えれば考えるほど自分が分からなくなっていきます。だってほら、僕は僕について何も説明が出来ないんですから。
どうしてビールを飲むのか。どうしてあの文章が面白いと感じるのか。どうして女の子が好きなのか。どうしてこんな気持ちになるのか。どうして文章を書いているのか――。
尤もらしい回答は出来るでしょうが、突き詰めると理由なんてないんです。僕がこうしてキーボードを叩いているのも。Noteではなく、ブログでもなく、カクヨムを選んだのも。理由なんてありません。ただの運です。
好き嫌いや錯視が分かりやすいのかな。ペペロンチーノが好きなことに理由なんてありません。人の悪口を言って笑いをとる人が苦手なのも理由はありません。次の文字列が二十代にもなって卵を綺麗に割れなかったことにしょんぼりしている顔に見えるのも理由はありません。(´・ω・)
どうして何かを好んで、何かを嫌いになっているのでしょう?
女の子が好きな理由を聞かれたら僕はこう答えます。
――なんとなく。
男が好きな男の人も、女が好きな女の人も同じような気持ちだと信じています。
脳の構造やら物理的な要因に還元できるかもしれませんが、それは原因であって理由ではない気がするんですよね。だから結局、自己開発が苦手な理由も特に無いのでしょう。まさに「なんか苦手」なんですよ。どこにも理由はない。
それで良いんだと思います。
よく思い直すと「なんか」ってことがあふれていませんか?
自分がしたことでさえ、理解出来ないことが多いですから。
中学の下校途中、どうして僕は「空まで飛んでけパラグライダー!」と叫んで、小川の堤防から中州へ飛び降りたのでしょうか。おかげで制服はびしょぬれになり、数日うどん以外食べられないほど舌を噛みました。意図せず爆笑をさらいましたが本当に意味が分かりません。でも、なんかその時は飛びたかったのです。
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