第84話 寄り道って楽しい


 個人的にですね、僕は近況ノートの波を眺めて、何か泳いでいないか探すのが好きなんですよね。これは好みの問題として聞いて欲しいのですが、ほら、皆さん結構更新報告に使っていたりするじゃないですか。批判を恐れずに言うと、その文字列は水の如しなんですよね。重力に任せてするすると流れて行ってしまいます。


 もちろん近況ノートは自由に使えばいいんです。僕には使い方をどうこう言う度胸も根拠もありません。本編に続く寄り道みたいなものですから、短い方が親切かもしれません。


 でもね、時々、あの絶え間なく打ち寄せる波の中で「ん?」ってなるものを見かけたりするのですよ。近づいてみると、すごい。おもしろい。トトロに続くけもの道を見つけたメイのように目を輝かせてずんずん進みたくなります。


 そうやって、タイトルやらキャッチコピーとは違う道から入っていくのが楽しいんです。


 人には目的地にまっすぐ行くタイプと、方向だけ掴んで何となく歩き始めるタイプと、考え無しに探検するタイプと、目的地そのものが変わってしまうタイプがいますが、僕は2番目です。つまり、寄り道する可能性をあえて残します。寄り道になったら「良かった」と思っちゃいます。


 本筋と関係ないちょっとしたことって、どうしてあんなに新鮮で心に残るのでしょうか。ふと入った路地の奥で開催されていたネコの集会とか、電信柱の黄色と黒のしましまに突っ込まれた美人な野花とかね。


 そういえば、僕は生物や歴史の資料集が大好きでした。それはテストに関係ない寄り道がいっぱい伸びていたからなのですね。

 ミツバチの八の字ダンスの解説の横に、ハチミツにはボツリヌス菌が含まれているから乳児には食べさせるなとか、ハチミツはミツバチの口噛み酒のようなものだとか、ちっちゃく書かれてあるのを想像するだけでワクワクします。


 だからね、近況ノートがけもの道だったらとても嬉しい。すごい、この道おもしろそう。そんな道を出来る限り見つけていきたいな。


 いやいや、テストに関係の無い寄り道が好きって、現実逃避じゃないか――。

 うん、だからみんな資料集が好きなんだと思うんですよ。勉強なんかより「アノマロカリス萌え~」とか「ハルキゲニアとげ~」とか言ってた方が楽しいですもんね。


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