第83回 慣れないことはすべきではない 


 先日、壮大な景色にあてられて思い立ちました。「賢人もすなるエセーといふものを、阿呆もしてみむとてするなり」。結果が前回です。エッセイってこう……深いことを言っていそうで、読んでみたら案外さらりとしていて、でも気を抜いていたらごつりとくる。そんな感覚なのですよね。それを目指しました。


 しかし、慣れないことは困難を伴うのが現実。前半は良かったんですよ。慣れない地で迎えてくれた先輩の優しさと、一貫して持っていた狂気の表出をありありと書けたと思うので。問題は後半だな。やはり、自分の考えを言葉にすることは慣れない。いつまで経っても目の揃わない波縫いのように不格好です。


 言葉を尽くせば尽くすほど味が薄まっていく気がしてなりません。小説でも然り。しかし、短い文章に凝縮させられるほど技巧も大胸筋もない。ぐっとくる短文を書ける人は毎日プロテインを飲んで、ブラをしているに違いない。


 ――ブラじゃない!! 大胸筋矯正サポーターナンダヨォ! 

 

 なんかマイケルっぽい声が聞こえましたね。気のせいでしょうか。


 ともかく慣れないことはやってみなければ。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」と言いますが、残念ながら他人の文章の失敗に気付いたことがありません。好みの問題のような気がするのは、もちろん僕の勉強不足でしょう。でも、自分で文章を書いてみないとね。


 タイトルと矛盾する?

 わかってないなー。逆張りで目を引くというテクニックですよ。そんなことも分からないなんて、ほんとに「アメリカ人は全員フレンドリーだからと言って、見知らぬ人のHey!!に反応したら犬を呼んでいるだけだった」くらい残念な脳みそね。穴を掘ってあげるから、羞恥心を噛み締めながらペンギンのごとく飛び込むがいいわ。



 ――うん、やっぱり慣れないことはすべきではないのかもしれません。

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