第81回 なりきり型執筆法?


 前回は余りに意味が不明な内容だったと思うので、頭がおかしくなったのかと心配された方もいるかもしれません。ご心配ありがとうございます、でも、大丈夫ですよ。元からおかしいみたいなので。


 さて、僕は犬になりきろうと努力を重ねました。


 まず四足歩行になり毛と尻尾を生やします。体温調節は舌で行い、何とも言えない匂いの肉球も準備しますよ。あとは五感もですかね。色も、視野も、音も、匂いも、味も、感触も人間のそれとは異なるでしょう。そして一番大切なのはですね。何だと思いますか? 少し考えてみて下さい。


 あとはどのように体を動かすかをイメージして、外界に対する反応を外的にも内的にもトレース出来たら、はた目には犬じゃないでしょうか。金色の長髪を靡かせて、公園で綺麗なOLさん二人組に遊んでもらっている2歳オスのゴールデンレトリバーですね。


 

 はい、ご理解の通り、最も大切なのは「コトバを捨てる」ことですね。犬は言葉から意図を汲めるのは確実ですが、僕たちが理解している形とは異なるでしょう。犬になりきったら言葉で表現なんて出来ません。彼らは言葉を持ちませんから。人間の感覚は全て捨て去りましょう。


 たとえ息づかいの「ハッハッ」という音だろうが、芝生の上を軽やかに飛ぶ「タシッ」という音だろうが、時間の経過を表す……三点リーダだろうが、それを言葉で表現した時点では解けてしまっています。僕たちの頭で考えたことになってしまいますからね。文字で伝えるこのサイトでは無の表現。記述不可能。それが犬になりきる、ということかもしれません。


 答えは沈黙――ってね。あれ? 怒ると目が赤くなる鎖の彼が小指を僕の心臓に向けています。何をしているのでしょうか。


 え、なになに「嘘を吐かない?」

 なんだぁ、そんなの簡単です。大丈夫ですって。



 いやぁ、それにしても貴重な体験でした。


 いえ、決して楽して記事になるなぁとかそんなことは思っていませんよ。

 決しt――。


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