　皆さんはどのようなスタイルで物語を執筆されているのでしょうか。僕は登場人物たちを近くで見ている感じです。主人公視点、第三者視点、鳥瞰視点と、視点は色々と移動しますが、登場人物そのものになることはありません。

　しかし、作中のキャラになりきってみるのも良いのではないか、と思うのです。

　有名人と結婚して、記者会見で幸福感と優越感に浸りながらおもしろいことを言おうとするフリーターとか。金持ちで容姿端麗、全校生徒からの羨望と恋心を集める全能感を持った女性教員とか。毎日、ぎゅうぎゅうの満員電車に揺られながら、明日会社が爆発しないかと心待ちにしている運転手とか。寒空の下、裸で凍える仲間を足蹴におしあいへしあいして、やっとのことで辿り着いた温泉で暖を取るカピバラとか。

　様々なシチュエーションが考えられると思いますが、なりきることで見えてくることもあるのではないでしょうか。せっかくなので、試験的にやってみようと思います。

　そうですね、じゃあイギリス出身。カーリーで長い金髪を揺らし、聡明で優しく、みんなに愛されるあのキャラになりきってみましょうか。

　ゴールデンレトリバーです。どうぞ。

　◆

　いやー、なんとか出来た気がします。四つ足で走る感覚とか、しっぽの感覚は独特でした。人のまたぐらに鼻を突っ込みたくなるのはあのような気分からなのですね。恥ずかしながらボールに当たってからキャッチしようとしてしまいました。見えないときは確かに見えないや。それを見て、笑って撫でてくれるOLさんとご主人の手の気持ちよさは格別ですね。

　ふむふむ、確かになりきることは執筆のヒントになるかもしれません。もし、やったことが無い人がいれば、是非やってみて下さい。

　新しい世界が広がるかもしれませんよ。