6月 尻の行列は酩酊する
第76回 酒好きは全員左利き仮説
先日、杉沢村主様のエッセイ(※1)にお邪魔させて頂いたら、Little Askewの一人が堂々と人様の茶の間でおもてなしを受けていたのです。これにはびっくりしました。「ちょっとちょっと、何してるの!」と問うと、「だって、お酒くれるって言ったんだもん……」とこぼしていました。だもんじゃない、ほいほいお酒につられるんじゃありません! かたじけない。この子にはよく言っておきますね。ほら!帰るよ! こら、一升瓶を見つめるんじゃない! いえいえ、そんなお気遣いなく。え? いやいや、こちらはもう感謝でいっぱいですから。……そうですか? そこまで仰るなら、じゃあ少しだけお言葉に甘えて。このお礼はいつか必ず。
以上のようなことがございまして(?)
あぁ、僕もいつの間にかぐでんぐでんです。何故か足元がふわふわとして、千鳥足で真っすぐ歩けません。
僕の一言から
そうだ、お酒が好きな方を「左利き」、反対にお酒が苦手で甘いものが好きな方を「右利き」と言いますね。ふむふむ、なんで酒飲みは左なんだろう。それをネタにしよう。僕は酔い覚ましも兼ねてネットの海に飛び込みました。案の定、酔った頭では情報の波で溺れかけたのですが、何とか由来を拾い上げましたよ。
酒飲みを左利きと呼ぶ理由、それはノミ手だから――(完)。
ちょっと、ちょっと、数学の回答集じゃないんだから。途中式で解説してくれないと分かりませんて。僕の読解センスの無さを見くびっちゃあいけません。ほらほら。
『江戸時代、大工や鉱夫が右手に槌、左手にノミを持つことから右手のことを「
はぁー、なるほどね。駄洒落から来ている訳だ。安い手じゃなかった。これを思いついた大工たちはそりゃさぞかし笑ったでしょう。なんせ酔っぱらいなんだから。
お酒関連の言葉は面白いですよね。「ザル」とか「沼」とか、「うわばみ」とかね。英語では迎え酒のことを「a hair of the dog(犬の毛)」と言いますし(※3)、ガンガン飲む、大酒飲みは「drink like a fish」ですからね。
ネットを泳いでいると、「へべれけ」の由来もありましたよ。
『ヘーベーのお酌という意味のギリシア語「ヘーベー・エリュエケ(Hebeerryk)」が短縮された』(※4)とのこと。
嘘だろ……。
ギリシャ語からの駄洒落かよ……。
と、ふらふらする頭で眺めていましたが、この話には続きがあります。
『この説は正確な語源とされておらず、へべれけに近い擬態語には、「へろへろ」「べろべろ」「べろんべろん」など数多くあるため、それらと同系と考えるのが妥当であろう』
なんだなんだ。
これは流石に言葉遊びでした。
でも、よくギリシャ神話の綺麗な神を引っ張って来て、美人にお酌して貰ったらべろんべろんになるという類似性をこじつけたものだと、感心するところであります。このくらい広範でマニアックな知識を持って、言葉を
あと、似たような語で「ぐでんぐでん」も驚きました。
酒に酔うと、高貴な人でさえも下劣になることがあったことから、「貴殿」をもじった「愚殿」と冷やかしを込めて呼んだ。「愚殿、愚殿、とうとうこれより帰らるべし(お前さん、さっさとお帰りなさるが良い)」の一説から。
はー、
――はい、これもソースはありません。
「ぐでん」で調べたら「愚殿」がヒットし、似たような由来を提示していた人もいるので、てきとうに古語で一説をでっちあげてみました。
見抜かれた方は
驚かれた方は申し訳ない。
信じられた方はその純粋な気持ちのままでいて下さい。
でも、百年後の言葉の解釈も、出鱈目のようにでたらめな漢字と理由が採用されていたりして。そんな空想をするのも、また面白いですよね。
※1 徐々に奇妙な暴言 - 杉沢村主 様
https://kakuyomu.jp/works/1177354054889231633
「辛党なのに左党の謎」より
『』内は以下からの引用
※2 SAKETIMES
左党・上戸ってなんで"大酒飲み"という意味なの? (2017.01.13)
https://jp.sake-times.com/knowledge/culture/sake_jogo
別の説として、武士がお酒を飲むときに、いつでも刀を右手で抜けるよう、左手で飲んだから。というのもあるみたいです。どちらも理由があって、奥が深いですね。
※3 迎え酒はなぜ犬の毛なのか?
かみついた狂犬の毛を取ってつけるとその傷が治るという迷信から。だそうです。
※4 語源由来辞典 「へべれけ」の項より
http://gogen-allguide.com/he/hebereke.html
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