第53回 察してもらおうなんて甘えんな


 僕は説明が非常に下手です。第42回で言及したように「自分を前提として話す」から前提そのものがずれていることに気付かない。だから、伝わらない。バイトで家庭教師をしていましたが、最初は生徒が状態が続きました。会社でも担当だから知っている基本情報の提示が抜けるので上司から「何を言っているのか分からない」とよく言われました。


 そして、やっと僕は気付いたのです。


 ――僕は今迄どれだけ人に甘えてきたんだろう。


 僕は自己表現が苦手です。はっきりとものを言えない。悪いことばかり想定して、がんじがらめになってしまう。ムカつくことがあっても怒ることが出来ずにため込み、友達に対しても、好きな人に対しても「なんで分かってくれないんだよ」と苛立っていました。


 思い返して自分に言いたいです。


 ――そりゃ、お前が言わないからだろ。察してもらおうなんて甘えんな、ボケ。


 言葉にしないと伝わらない。そんな簡単なことに気付くのに二十数年かかりました。分かってもらうには表現するしかないんだ。そのことに気付いたから僕はこうして文字を書いているのかもしれません。拙い文章でも、貧弱な語彙でも、表現することが肝要なんだと。


 関係が深くなるにつれ、阿吽の呼吸というのは増えていくでしょう。「ん」と言えば「ダークラムのオンザロック」が出てくるみたいな。それでも、全てが分かるなんてあり得ないんです。「僕(私)は彼女(彼)の気持ちなら言わなくてもわかる」という人ほど信用できないものはありません。理由もなく「行けたら行く」と言っといて本当に来ちゃう人並みに信用できません。


 言葉にする。


 単純なようで難しいですね。

 

 成人式の後の3次会で好きだった人に「実は……」と言われました。「そのときに言ってよ!」と叫びましたが、すぐに大きいブーメランが突き刺さったのはもはやお家芸です。


「言葉にしないと伝わらない」

 KAC2をきっかけにして、上記をテーマに短編を2作書きました。

 

 すれ違う男女の切ない物語を目指しました。が、こんな気持ちもあります。

 その帰結はんだよ、と。

 

 でも、それが分からない高校生だから物語になるんですよね。


 そんな青い夏を楽しんで貰えたらと思います。

 

 私たちの間には机二つ分の距離がある

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054888820699


 ひまわりと蜃気楼

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054888877407

 




 はい、宣伝ですよ(笑)


 


 たまにはいいじゃないですか。読んでほしいって言葉にしても!



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