第37回 叶えたいこれからの夢 ― 金髪になる


 前回、子供のころの夢を叶えるのは難しいことが分かり、半ば諦めてしまっていることを吐露いたしました。


 しかし!

 希望を捨てていないことも事実です。更に大人は欲張りなのです。長生きして、人生を全うするだけじゃ嫌だと思う自分がいるのです。それに気づいたのは、大学生になる少し前でした。


 僕には、愛すべき相手がいました。

 小学校のときに知り合い、そして、高校のときに別れました。


 僕は面白いことも言えないし、自分のことで精一杯で、気も利かない。

 プライドが高いくせに、無駄に卑屈で実力が無い。

 後悔を溜め込んで、言い訳ばかり探している。

 日々、そんな自己嫌悪にさいなまれています。

 

 それでも、いつも一緒にいてくれました。


 苛立っていて、ひどい八つ当たりをしても。

 気落ちして、どんなに素っ気なく接しても。


 ただ、そこにいてくれたのです。

 

 

 だからこそ、あの子のように――

 寿命は短くても良いから、誰かを安心させたい。

 一緒にいて、心地良いと思われる人になりたい。


 そこにいるだけで癒してくれたあの子のなんと尊かったものか。



 面白いことも言えないし、ちょっと臭いし、ポンコツですが、今でも夢にでてきて何度でも癒してくれるのです。顔を見せるだけで、しっぽを振ってくれたあの可愛さは忘れない。


 そうか、人生を全うするだけじゃ足りないのだ。

 あの子みたいに、そばにいるだけで誰かを笑顔に出来ればいいなぁ。


 これからの新しい夢が見つかりました。





 ――僕はゴールデンレトリバーになりたい。



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