第25回 合コンで受けた発言集―すべてに愛を込めて


 今日、rule outという言葉を見かけたので意味を調べてみました。「除外する、締め出す」という意味らしいです。


 詳しく理解してはいませんが「人間は社会的動物」だと言われます。個人は絶えず他者との関係において存在しているそうです。だからこそ、あるグループで仲間はずれになることは日常茶飯事です。いじめまで行くと問題ですが、確かに好みのグループが分かれるのは当たり前のことですね。


 今日はその当たり前を、初対面の飲み会で女性に言われた言葉に絞って「あっ今、rule outじょがいされた」と感じる瞬間をリストアップしていきたいと思います。


 あくまで、これは僕の非常に個人的な見解であり、一般的にそう思われている訳ではないことをご承知おきください。



――以下、面と向かってお断りのお言葉――



・どうしようもない条件

「背が高い人が好み!」

「付き合うんなら年上が良いなー、年下はちょっと……」


 どちらも言われて、それなりにショックを受けた言葉たちです。いやね、もうオブラートとかないですよね。きっぱり諦めさせるある種の優しさなのかもしれないけれど、ハンマーを優しさで包んでぶん殴ってくる感じ。結局、ダメージ一緒じゃない? というくらい優しさが意味をなしてないシリーズ。


 特に前者は傷口に唐辛子をじりこむようなクリティカルな一撃。



・好みではないことを伝える系

「やっぱり顔は薄い方がタイプかな」

「なんか現地にいそうだよね」


 好みの人はいるかもしれないけれど、私は違うという本音がビシバシ伝わってきますね。初手でこちらの勢いと気迫を的確に削ぐ、機先を制するクレバーな攻撃。



――以下、暗にお断りのお言葉――



・身近な人を引き合いに出す

「私の友達にめっちゃ似てる!」

「弟と結構似てて、弟と気が合いそう」


 家族や友達に似てると伝えることで、それ以上にはならないよということを示唆していますね。このような言葉を聞いた時は、経験上連絡が返ってくる可能性はほとんどありません。直接伝えないものの、それとなく気がないことを悟らせる非常に大人な対応。



・おもしろさを求める

「彼氏にしたいのは面白い人」


 これは非常に厄介な一言です。


 みなさん、結構仰いますよね。一見、何の問題も無く、見た目で選ばない心の綺麗な人だと騙される哀れな男もいるかもしれません。僕もかつてはそう思っていました。しかし、よく考えて見てください。初めて会った人を笑わせるというのは、これがなかなか難易度が高い。本当に面白い人というのはどれだけいるのでしょうか。その場は酒と緊張から盛り上がっても、その風速を保てる人はかなり限られてくると思うのです。


 この言葉を受けた時点から、何か面白いことを……。という無言の重圧を否応にも感じ続けてしまいます。無味乾燥・無個性の塊であることを自負しているぼくにとっては、この言葉だけで身に余る相手なのです。面白味の無い身はなんとせう!



――以下、処分保留のお言葉――



・褒めはやされているようで、されていない感想をもらう

「理系みたいで計算とか早そう」

「いつも活発で遊びまわってそう」


 言い方と状況によって多彩な受け取り方ができるコメント達。良い意味のはずですが、どこかネガティブな意味が内在していますね。少し対応に困りますが、悪い部分は見ないようにしておだてられておくのがベター。



・おしゃべりだと勘違いされる

「口下手なんて嘘でしょ?」

「結構しゃべる方だよね」


 結構、この感覚を分かってくれる方は沢山いると思うのですが……。僕と同じ人見知り――初対面かつ、その後の付き合いを考えなくて良い場合だけ饒舌じょうぜつになる人見知り――であれば。


 まず、おしゃべりではありません。初対面の人と話すときはいつも必死です。単に最初はテンプレートの話題の引き出しが残っているために、話が続いているだけなのです。これが少し慣れてくると徐々に話すことがなくなって、途端に口は閉ざされます。話したい、仲良くなりたいのはやまやまなのですが、何を話せばよいのか分からなくなるのです。


 それを分かっているからこそ、勘違いされるとキツいです。


 口数が減ってきて、喋れなくなった時の相手の落胆が怖くなってしまいます。だから、先に回避しようとしてしまいます。そんな人ではないんです。ティガーでは無くてピグレットなんです。



・反対の性格を褒められる

「明るそうだね」

「凄いアクティブで、友達多そうだね」


 違うんです。


 と、口をつきそうになりますが、ぐっとこらえて素直に喜びます。心情的には、おしゃべりと同様勘違いによる落胆にびくびくしています。そして、実際には無口を受け入れてくれて、気の許した人しか友達関係になれません。いつ化けの皮がはがれるか、馬脚ばきゃくあらわしてしまうかが気になって気が気でないです。そのように勘違いしてもらうのはちょっと嬉しいですが、胸を張って言えるはずもないのでやめても欲しい。そんなジレンマに苦しむのも、飲み会の情趣でしょうか。



――以下、特に考えなくてもよいお言葉――



・バーナム効果を狙ってくるコメント

「友達と遊ぶのも好きだけど、一人でも平気で遊べそう」

「普段は明るいけど、意外と涙脆そう」


 誰にでも当てはまることを自分のことのように捉えてしまうバーナム効果。少なくとも良くも悪くもない印象でしょう。むしろ話を広げる種としていてくれている可能性も感じて嬉しくなる言葉たちです。


 これが飛んでいる時点ではまだ道は閉ざされてはいません。

 あとは話の広げ方にかかっています。頑張るべし。


 しかし、既にrule outじょがいされており、本当に何も考えず適当に話している場合もあります。いつでも慢心は敵なのです。




 以上、言われたことのある印象的なコメントをグループ分けしてみました。異業種交流会をしたことがある人は、共感してくれていることを祈っておきます。これからも言葉を分析しながら、新しい線引きのコメントを見逃さないよう注意して臨みたいと思います。




 P.S.

 みなさんのこんな超個人的分類を読んでみたいなぁ。

 ……誰か気が向いたらお願いします。

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