第24回 僕はモテる


 男性が自分はモテると思い込むことも、ちゃんと役に立っている

 ――エレーヌフォックス (2014) 「脳科学は人格を変えられるか?」文藝春秋(p88)



 性格と脳がどのように結びついているかに興味を持って少し前に読みました。快楽を感じるときは脳の中で何が起こっているのかを解説し、悲観的な脳と比較しながら楽観的な脳にフォーカスを絞って、盲目的なポジティブシンキングの啓発に関して警鐘を鳴らしています。


 その中で、上記のフレーズが目に留まったのです。人が自分に良いことが起きる可能性を過大に見積もる現象のことで、「オプティミズム・バイアス」と呼ばれるそう。


 人として誰もが持つ機能で、人が進化していく上で有用となってきた機能なのです。


 上記見出しでは、男性が女性の友好的な態度を社交辞令ではなく、性的関心があると認める実験を紹介し、それが子孫繁栄のための合理的な認知として心理学的に解釈された事例を挙げています。



 今迄、何かの能力が人並み以上だと思うことは烏滸がましいことだと考えていました。李徴のような才覚もないくせに臆病な自尊心を持ってしまっていると自省の念がありました。


 しかし、それも通常の人間の性質だったのです。前回、悪夢をみて平均的だろうと思い直したこともあり、すんなりと入ってきました。


「僕は全体的に見るとそこそこの物件だ」とか、「あの男よりイケてるだろう」と思うことは別に尊大な性格を表象している訳ではないことが分かり安心しました。


 そのように思うことは自然で、むしろそう思う方が何かしらの点で有益なのです。これからは恥じることなく自身を納得させて生きていけるような気がします。その意味でとても印象に残る逸話アネクドートでした。



 ――事実モテるかどうかはここでは関係ないですよ。

 知らぬが仏とは良く言ったものですね。


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