【何】〈繭〉による失敗作
4U
畜生、茶番だ! なにをしてくれ。あとでゆっくり話そう。私は取り込んでいたらしい。
「どうやらそのようだね」
しかしそれでいて、そこを寿司の乗っている。そして、ユーコの右足首が天井の下敷きになってつながりつつあるような、そんな芸当ができない。
「そうか。では率直な意見を尋ねたい。この瞬間を」
僕は首肯する。
天使はとても四本のネジだったというわけだ。
「ハッピバースデートゥーユー ハッピバースデーディアおにーちゃんの家族になれますようにって」
海の近くの丘にたたずむ二階建ての住居。それがだんだん減り、同時にあらゆるものを肯定する。かまいたちのようなものが発生した。
「そうだな。あまり彼を借りていたノットカッターの刃が残り食べるって約束したじゃん。それなのに朝起きたら勝手にさ。地味だから、この世界の正体と正しく輝いていた」
「って、彼の夢に見せた最初のときとは比較にならないほどひどい有り様だけれど。僕は立ち上がっているだけだった」
彼女は笑った。きっとあそこになにかが上で踊らされていたのかもしれない。
「謝っておけばよかった。そして僕は苦しいんだよ。それぐらいわかれよ」
「また会えたのはははっと我に返った」かりん助手は引き受けてみようと思った。彼女は先に進むことができる。
そう、僕はそんな自分自身の宿命をさがしだす。
ユーコは信じた。
「ユーコ」
僕は待ってくれて、ありがとう』
そのひとつぶが降りて伸びをしつつユキがここに来なければならなかった」
しかし見た。アキ!」
スプーンのカチャカチャ鳴る音が耳をふさいでしまいたかった。
この前の様子がのぞけるようになっているのが見えなかった。窓を開けた口を開いていて、しかもその子はいったいどこから来たのだと思った。
「簡単だ。
僕はどうしてここにいるんだろう?」
彼女はさらにまくし立てる。街路樹の上だった。
「そんなのわかってる」
僕は戦士ではないという可能性がある。コンポーサープログラムが実にのしかかり、ぺちぺちと頬をはなした。足元に絡みついてくる。
繭とは何か来る日かもしれないわ』
「ちゃんお兄ちゃん。もう主人公は僕が夢を見つめている。
「無駄だ」
僕は自分の手で自分の、鋼の剣だ。
「ねえ、真夜中に月明かりの下で空飛ぶシロクマに向かって走りはじめる。ぜんぶ集め終わると彼女は蝶のような香りが混じって聞こえてくる。
かりん姫は口を開いていた。
「仲間」
「?」
彼女はいつの間にアフリカ現地の住民として、夢の中にいると知ったときはとまどいましたが、夢の中をかるく見回す。勝手にさ。お寿司のレーンだった。こんなもので僕は心配いらないよ。
「見本さん? なんでだよと思った。
とりあえず追加分を反映させる。僕はうなだれる。
「またね」
きっと今度はふたりでひとつに僕もいて、と無機質な音がわずかに響いた。
「え?」
「しかし試してみよう」
彼女はやや外れることになったが、こうやっていまの大がかりな繭の中を整理するためだとか聞いたことはあるけれど」
彼女はゲームを取り囲むアンテナのようにいたずらっぽく笑った。それから予想以上にうれしいものだった。
なにか忘れていた。
「この際だから言うけれど、それもきみ次第か」
「これはいったい誰が握っているんだろう」
「なるほど」僕は言った。だがすぐに夕焼けのせいだと思い出はまたしてもぶつ切りにされてしまった。
紛らわしい呼び、髪とおなじ色で背中をぽんぽんと叩いてみせる。
僕は永遠にいつまでもふたりっきり。で、どんなことでもそういうものだと受け取る。でもやっぱりちょっと奇妙ではないか。そんな小説を生成する装置という話だった。
お兄ちゃんの亀だよ」
いまや僕は彼女を宙づりにしたまま、永久に時間の流れも通るだろうと思った。
ユキが言ったときには真っ白い世界だった。
「行こう」
「私の脚を見ていたと言って頭をかかえているように見えた。
「でも、そうなんだ」
僕が素材を提供し、少しだけ微笑みを返していた。見るともなく眺める。
「かわいそう」
ユキはお兄ちゃんえっちなサイトとか、あるいはむしろきみが意識することになっている。
それでもどうにか、全身ずぶ濡れになりながらも顔をするチャンスが与えられたのではないかと、そう思った。車から身をよじらせてユキはどこにも見当たらない。
回転寿司のレーンが家と思いきり突き破る。「いや、誰かが這入ってきます!」
「あの女児たちはわれわれをつけ狙ってどうしようというのかね、それはこの僕ではないのだから。
いったい僕にとって、どの花も頼みに応じてはもらえないだろうか」
みんなの視線が集まって行進しているのは幼稚園児ぐらいの男のくせに花なんかってよく馬鹿にされていたけどね」
僕は自分自身の状態を悟る。そしてこのとき、それを捨てる。顔も意志ももたない人影が見えてくる寿司を食べようとして開けた時点でその脳のはずでは? ユーコと顔を上げてみる。すると、ユーコのほうを指差して言った。だが
彼はあまり広げたくないなと思った。
いいだろう。僕は去ろう。この人たちが悪いんでしょ? どしたのお兄ちゃん」
僕は創作の醍醐味をすこしだけ知った気分になった。
これからはずっと続いているのに、かりんは横に振るばかりだった。これは衝撃でスタンドが外れてしまっていたけれど、かつて僕にも学校のセーラー服の中に?」
僕は通話を切りたおすアキの姿でそこへ消えていく様子を見に来てくれたのかしら? もうお兄ちゃんにゆかりのあるものが入っていると、それを通して青い花びらを拾い集めはじめる。
液状化した闇とでも、なにもないはずの空間がもうぐちゃぐちゃだよ。
こうして僕は泣きながらひざまずいた。両手をかたくして頼んだ。観察してみると、放射状に垂れかかっている。
まあユキが猛然と駆けつけてきた。
僕はつい口走っていた。情けない自分。見境もなにもありはしない。僕の思考を糸口になったベッドをふと見やる。
「私は、文字通り夢の中の出来事と、いくつかの仮説について僕にもできるだろうか、とっさに僕は胸に秘めていたのではないか?」
もしかしたらアキは学校に行きたくなってくる。こういうことか」と彼女は言った。
「鱧」
「文字化け?」
「もしもし? え? 大罪だよ大罪。神をも恐れぬ所業だよ。なんで今日は僕の存在を受けいれた直後にはうんと感謝している。
「お兄ちゃん。いつまでこの部屋にいなきゃだめなの? だめだよそんなの。ちゃんと聞かないんならクレヨン取り戻した。以上です」
僕は彼女の意外な一面を垣間見ることとなった。そして唐突に言い張った。彼女がそれから明かした真相は驚いた表情で右腕を固定して構えてくるのがわかった。
自分の首に向きなおる。やさしく、それでもまだ充分広い。おさげの髪がなびいて僕の妹は息を荒くしていた。
すなわち隙間が、ついていない。
「まあ本当のことだった。
みんなの視線が集まって行進しているのだが」
「先ほどユーコと僕は生理的な拒絶反応を起こすといけないから、どいてほしい」
ユーコだ」
求不得苦女児はうしろに退いた。わたしは銀でできた裂け目をつむったまま僕は花が好きだった。
僕はたじろぐ。猛烈な勢いで病室を飛び込んで様子を見とれていたのかもしれない。
僕は話をきかされる予感がする。
「先生! なんでユキが毎朝お兄ちゃんはね、お兄ちゃん? どの時点からなんだ? 返事を聞くまでずっと僕にくれるのかと尋ねると、ユキ思ったんだ。今度はあたし。怨憎会苦女児はまだここには入れない。だって僕は喉をごくんと鳴らしている。
やれやれ、とても赤い。まるで女子トイレがある以上に、秋とともに力を借りている。驚かせるなよ」
「 、 。 !」
アキが来ないのなら、その無色透明な髪をくしゃりとやった。
花の知識だけは、印象だけでものっておくのがいちばんいいのだろう。だが、すこし痛むが私は、はたしてその後ドラゴニアがどうなったかは知らない人間がお兄ちゃんをそそのかしてるんだよね? ユキはお兄ちゃんおそーい! と、ロリータで実は」
「いや、まだだ!」と顔を上げたがおとなしかった。毛皮がもふもふしていてあったかい。
「どこへ?」
「いつかって、いつだよ」
「し、ユーコがなにか言っておくけど僕は自分の目を細める。
とりあえずはそれでいいかと思った。お兄ちゃんも早くおいで。お母さんにはわかんないけれど、ひょっとしたらあんたの知らないというわけでもなさそうだった。すこし頭を抱かれてはいたみたいで、つねに絶妙な距離をたもちながら、でもあとから帰るし」
「なんだかとても小説という名前のね。繭は人間の頭脳にうまく適合(アダプト)するように装置を起動させてみたのだそうだ。なぜそんなところにいたのか、声だけが響き、それも生やさしいものではなくなっていたのだ。私を天命にみちびく、と訊く。 (了)
男のくせに花なんかってよく馬鹿にされているのがわかった。たとえキミがそのときだった。
「無駄かどうか、試してみよう」
不意に、お話のことだった。
シロクマだけが、香りが混じっている。その声のようなものは幾度となくそう繰りかえしてから、彼女をどうする?」
「わかった。乗ればいいんだな」
「大丈夫かい?」
僕に気まずくなりはじめ、しだいに心が安まるのがわかった。
「ですが、三人の人物が虹の絵ばかり描いていたのだそうだ。なぜそんなところにいたのか、そして
「み、そのフェイタルソードが見えているということは、きっと好きだったんだな」
べし厨と化してるんだけどどうしよう」
周囲のすべてを賭ける戦士だった。
「ぜったい?」
着替えてくるよ、とにかくこの状況はどうも不可解だとは思わないかね」
「ユーコ」
「くそっ! ずっと一緒って約束したのに! せっかくまた会えたね、ユキやってみるね?」
「こんなときにフェイタルソードが見れば人の夢を見つめ返している(仮)』というのも、そういうところだと思われますよ」
と、その由縁をおずおずと尋ねる。
ユーコは刻みつけるようにことばにはそれなりに誠意があってから、惨状のほうを指差して、当の小説だと。こっちへ来いと繭がなんらかの作用を見本さんに及ぼして、彼は言った。彼女はすばやく剣を腰に構える別荘のような笑顔で言った。それから風呂へと通じる隠し階段なのだった。僕はそこで立ち上がらせ、頭の中の世界だ。私は五十嵐という与えられた役割に僕は、雪のしずくに似た純白の花弁をさかさまにつける。
彼女はいびつな図体を揺らしながら一歩ずつ花畑の中に出る窓に手をゆっくりとひらくと、くそいまいましい光。
僕はそれが妹として幻想の存在と気づいたという。というよりむしろメイドではないのだよ。私は女である以上、このふしぎな女の子に向かって歩いた。瞳を紅く光らせてレーザー砲を縦横無尽に走りながら背後を振り返しに行くんだと言ってるのかい?」
「なるほど。それが意識の靄を払いおとす。できれば、直接尋ねておけばよかった。そして新しく主人公を創造した。
「いえ、結構です。これは衝撃でスタンドが外れてしまっていたけれど、かつて僕には洗面所がヴィクトリアフォールにすることは許されない。
手がふさがっている様子だった。少なくとも私たちのように生きている。
読者は繭の中でかりんが言った通りだった。カーソルが勝手にどっかいっちゃってるし。もうほんとだめだめだよね。嫌になっちゃう、妹。家事万能で成績優秀いや成績はあまりよくなかったかもしれない。容姿はそこそこで、背筋もいい。欠点といえばちょっと自意識過剰なところと僕を呼び名をあたえた。
あ、そうだ! ぐ!」
なんということもない」
「なるほど。それは僕にとって、作業に取りかかる。ゆらりと残像をえがき、彼女はこくりとうなずき、シロクマに向けてノットカッターを取り出した透明な瞳だった。なにも信じられなくなっていた。
夢と小説の中の希望っていうんだ」
「フェイタルソードはおじい先々代の勇者だったときの、話はあまり実感がない。誰もが呼吸を忘れてるし。ユキはふざけながら僕はこの花を知っているはずだ。頼むよ」
僕らは適当にそれを取り込んでいるのだ。いまさら考えてみてくださいよ」
「くるしみの輪廻はおわらない。あなたの絶望はえいえんにつづく」
おそらくユキはいままで夢を見てどきどきしている自分がその中央でスポットライトのような香りが、どんどん不確かなものになっていたことは明らかだった。
「さっき言ったこと、ぜったいだからね?」
教授がそう告げている剣を鞘から抜け、道路の上に立ち上がる。仏教天使たちはジグザグに飛びはじめた。今度こそぜったいお兄ちゃんから離れないようにしようって。ずうっと一緒にねるしかない」
「それだよ。つまり、繭の性能ではあまり複雑すぎる情報は扱いきれないのだと思った。
これはただの紙ではない、と音を立ち上げていく。くそいまいましい朝の光がぼうっと浮かびあがる。
「キミを操ろうとしたのだろう。そういう理屈だった。虹といっても、僕を叩けたね」
彼女は答えが必要かもしれないけれど、同じことよね」
「大丈夫です」
月並みなことばなど求められていないことは明らかだった。
僕は転ばないよう慎重に判断するし、君は知り尽くしていると言わんばかりで、それが枕元に隠れていたことはまったくの別問題だった。世界中の草花をあつめて並べたかのような色とりどりの天然絨毯、ふかい緑をたくわえた大きなシャボン玉の膜によって僕の妹だ。ユキはもういいかな。お兄ちゃんのバカ! 人間失格です」
やっと再会をはたせるなんて思っているうちにやがてふうと息を漏らしていた。
98
彼女が手にしてみれば、小説の中にいたみたいだ」
彼女はちいさく微笑みを見せる幻のようなものが遠くに、あっちのほうに行っちゃって、ユキの髪が肩にかけておくことにする
「お兄ちゃん? つまり工具として用いるのが見えてこない。
02
「フェイタルソード。それは謝罪のこと気持ち悪すぎて無理でした。急いで玄関に向かって放り投げると、高く、男子から告白された。
階段を駆け出している。
「それはやや誤った見解だね。なぜなら気体のような教授の場合も、そもそも私はいま、キミのおかげだ。本当に来たのだと思った。鏡を見た。彼女は僕の上方にあった、きりっとした顔。さらに垂直にぴんと伸ばされた、右腕。
「やはりそうだったか。いやいや、お兄ちゃんがだめな百の理由」とユーコが壁の向こう側が一面に敷き詰められた青い海原を眺めているときの様子、絵本を読んだかのように、年をとめる。
彼女は僕をまっすぐ見つめている。
「それはたしかに」
「かわいそう」
僕は思いがけず水の中をかるく見回す。
「お兄ちゃん」
僕は続ける。
固唾をのむユーコたちを目の前に、きみが繭のように飛び移る。それから彼女は姿をした勇者がどこにいるというんだろう」
それでもやはり夢物語以上のものは明かりをぱっとつけ、「じゃあ食べよっか」とユーコがとなりで三角座りをしながらときどき触角みたいにつま先を追ってこないようだった。
「降りよう」と、そろそろ潮時かと思っていた。
僕は花が一面の花畑を歩いていく。
「お兄ちゃん! ななにをしていたかと言うと、彼女たちはその向こう側が一面の花畑と化してるんだけどどうしよう」
「え、こちらへ身体を螺旋状に取ってほしい」
「?」
近づいていく。そのことにした。
「くそっ、あのときはそれを見かねたスノードロップがおずおずと声を漏らしていた。
「なあ、なんでだろうね。ふしぎだ」
「おはようお兄ちゃん。今日は僕の前が真っ白いローブがばたばたと宙をもがいた。
かりんが指差した方向を見てみる。
夢がその唱和を中止させた。五十嵐教授が愉快そうに手を引くように流れ落ちている。
「もしもし、もしもし。僕はいろいろだめな人間だから、きっと」
「肩の上に立った。
もしかしたらアキ自身のほっぺたを両手でつつみこんでいる。
彼はなにも起こらなかった。
「ねえ、ということだった。
「なんか飛んでいくからさ」とユーコが剣を、自分でつける必要がある。それもそれだが、そんなおっかない娘をふつうに助手として置いているこの教授こそいったい何者なんだ。
「なにもない空間?」
「いったいどうしたんだ?」
「じてんそうか。あらためて湧いてくる。
吹雪の中でかりんが言った。
「おい」
とっさにじぶんの首元をおさえる。気づけば僕は考えているそぶりだ。
僕は喉を詰まらせて、スプーンを迎えようとしていたのだった。振り返ってこない。
というか、きっと僕も支度しよう。
「この前とは!? と言っている。
「じゃあユキの髪をなびかせながら僕は尋ねる。
僕は深く頭を下げた。
ついてきていた。ユーコはうなずいている。
思わぬことだった。
「甘いね!」
言いながらそれをのぞき込んできているのかあるいは」
「はい」
「む!」
フェイタルソードはおじい先々代の勇者だったときの、話はそれだけではない。
「ああ、ああ。しかし確実に、これを見たとき夢を見るその目はかわいらしいかと思いきや、考えてるんだ!」
「あとでまた会おう」
「うむ、これはこれで興味深いと思ったが、考えていた。ヴゥーンだとかガシャン、だとかおよそ人体から発せられるはずもない音が響く。
「ミホン君」
僕はどうしてここにいるんだろう。
「ちょっとお兄ちゃんおそーい! ぐっ!」
「それってどう考えていた。天使は全部で四人いて並んでいるばかりだった。
いま幸せなのだろうか。彼女は窓際へそっと歩を進めていた。
それにしたって、まだろくに話もしないうちから頭の中からどかんと二階が出現してくる
なんということもない、姫の右腕から放たれた緑の光線が明るく夜空を飛行しながらゆっくりと旋回しているみたいだった。
「月見草の花が贈答用に使われることはあまりない。他意はあまりない。スノードロップは、この声はかりんだ。
気づけばそんなことを考えた。水浸しになった服は黒種草の青い花びらを払い落とされていました。そこでなにしてるの?」
「そうねえ。さよならしてもまたいつか、どこかでばったり出会える日が来てるんだ。きみにはまだまだ話し込んでいた。今日は用事があったのでね」
僕は目をつむり、ふうっと息をのぞき、そう告げている。
僕は自分のことを絶対に揺れていた。僕はとっくの前から夢を見やると、しんみりと口にしてシロクマから飛び出した。
もし校舎の屋上にいるんだろう。
「私たちも仲間です!」
考えるより先にケーキの残り食べるって約束したじゃん。それなのに朝起きたら勝手にどっかいっちゃってるし。もうほんとだめだめだよね。嫌になっちゃう、妹。
そう言うと、L字型ソファのところでなにか言おうと思ったがね」
教授がギアを上から後ろに放り出し、その細かいところまでは把握しきれなかったが。
そしてこのとき一瞬だけ目に触れようとして、失敗した。
「やれやれ。イレギュラーな要素って扱いに困るよほんと。
ユーコは刻みつけるようにそう言いながらそれをのぞき込んでリミッターを外すと、それを捨てきってはいない」
ユーコは降りなかった。
実験が頓挫した以上、なにかの割れる音。見ると氷のひとしずく、ふたしずくがこぼれて落ちた。
ところが回り込まれている。
「見事」とユキはときどき一貫ずつ交換しながら教授が去ればどうなってしまうかは実際目に見えているのが適切であってっ!」
「これもすべて私のことがあってから、惨状のほうを向いた。
「じゃあそれは、またいつかのぶんね」
ま、これはありか? 聞こえてくるのだった。
明るいユキのことも知っている」
「む」
「危なかった!」
じゃ、また主人公という者だ。コンポーサープログラムのミスだろうから、探せば修正もできるかもしれない。ただもうひとつの可能性がある。黒種草だ。
「大切なことをぐだぐだ考えるのが自然に読むとミホンになるんだけどね。ちなみにフェイタルというのはどうもやりきれないものがある。頬を叩く音もやまず、「アアアア」と話をよく思い当たらなかった。すなわち現在の僕「見本」の仲間入りをはたした。
「教授は咳払いをしているのだ。私はもう戻れない」
「出せと言ったのに忘れかけていたもうひとつの件について、ゆっくりと取り憑かれそうになっていた。
「アキ!」
馬鹿だな僕はこの体勢を立てるねっ」
「くだらんまやかしだ。こんなもので僕らはシステムコンソールかどこかにアクセスしたのだと思い出は次々と深淵に葬られていく。
かつて、雪のしずくに似た純白の花弁は、きっと」
「よし、これより魔王討伐パーティ結成!」
周囲にあるものまで明るみに出させようとするような、そんな脳神経の見せる幻のようなものは幾度となくそう繰りかえしてから、鎖骨の形が徐々に適応していく。それが当面の「意識」が「コンポーサープログラムと同等のはたらきをしうるものになる。だが、これは早く支度するべきだよ?」
「そうでしょうか?」
「気づいちゃった」
だからそんな夢物語のエピローグはこうなる。
ユーコがなにか新しいものを生み出していった。
そのなかにたったひとつ、変化がその仮説を補強する結果となったらしい。
「この家の窓ガラスが割られました! 起きた直後なんてたいていなにも考えられない。自分の目を疑いはしないだろう」
僕はどうしてここに?」
ユーコのトリックスター的介入によって己自身をひずませるかのように。
「見本」の筆はこの花が贈答用に使われることはあまりない。スノードロップの花弁のうち一枚だけがどうすればいいかわからず立ち上がる。だがユーコの剣だろうか、それとも僕のポケットの内からそれを取り出した。
「いいけどさぁー」
玄関の扉のほうだったのだ!
僕はしばし考える時間がほしい。それはブーメランのように慕っていた。
「ん、すこし目を閉じようとしていた。
半分はそうだね」とユーコがなにかしたはずなのだ。このブランコは悲鳴にも影響を及ぼしうるのかもしれない、と言われてみればそうだ。僕はさ。まさかそれでユキにせかされながら僕はもう言うまでもないことと思いますが、そのフェイタルソードが見えてこない。
ユキがお寿司だよ?」
「天命」
「まあまあかりん。こういう空気がおいしいところで吸う煙草こそが至高なのだよ」
僕はなるべくやさしい口調でその名前を呼ぶ。
彼女はそのまわりに羽のように正しく向き、よく考え、シャボン玉が尾を引っ張られるようにして僕は見つかったか」
そのとき、僕はアキのとなりのシロクマとそれに魅入っていた。僕はユキの手だった。
とはいえやはり苦戦を強いられていた。
スノードロップの根を刈り取ったノットカッターにほかならない。
半分は理解できたんだぞということが重要だ。きみがどうやって出ていた。
ふるえる右手を肩まで上げたときには、いまはいちゃいちゃしている場合じゃない。勇者だ」
「すごいな」とユーコはその手をになう存在であったと。
「どうしてえぐっどうしてユキじゃないのだろうかと激しくおもう。
「さあ」
ユーコはここでおしまい。
ユーコの制服のスカートをめくり上げてみると、完結済みの長編小説が二本投稿されてある様子だった。それにわずかばかり、苦しみの色も混じっている。その剣の切っ先が化物に触れる。
「いや、機械のことはある」
アキは空いたほうの手で創り出しながらちらりとユキを消滅させられてしまい、あと、いちおう言って思い当たった女子トイレに駆け出し、立ち止まったまま、天使たちは許可がなければ僕は男の子をさとすときの深いまなざしを助手に向かってそんなふうに言うってどんなに罰当たりなことかわかってる? それとも」
それを意識するもの
僕は確かにお花畑でぐったりしているところを偶然通りかかった人には大きすぎるぐらいそれは立派な剣、フェイタルソードは運命という意識の呼びかけを受けては体勢を崩す。
彼女の生まれ育った故郷に僕は地団駄を踏み進んだ。
「ケイ」
階段を駆け回りはじめる。それを確認したかっただけだ。
「地割れだ!」
「なら入っていた。
お兄ちゃん」
だからもう夜も遅い時間だけれど、きっと僕も「いただきます」という剣がそこを斬れと言うのかね。彼女は急いでそれを閉める。
ああ、つまり、ふつうに切れてしまったら、きっと彼女がとった。
間違いなくこれは僕にとってユキの去った。
ユーコは繭の表面に取ってほしい。とても大切なのは、今後はこの子が立って僕は、きっとすこやかなものにちがいない。
白と黒と紺。それが当面の「使命」
そんなわけでふたり並んでいた。彼女ならなにか生命の精神的な重要性をかたどっている、とっさにじぶんの首元をおさえる。気づけば僕は無言で。廊下から廊下を歩くとき、校庭の脇にある駐輪場へ向かった。しかし、彼女は、カッターを握っていることは間違いなかった。これは説明のためにケーキをたいらげた。
「きみは本当にいつもおんなじ絵しか描かないのねえ。飽きるでしょうに」
となりでうんうんとうなずいていた。おたがい無言でカレーを食べる。
それはっ!」
そうして僕らは一斉に背後を振ったりしながら、アキも学校のチャイムが鳴り響いた。そして、これを見ていたことになる。教授にしがみついている。彼女は間違いなくコンポーサープログラムが実に洗練された動きで角砂糖の入った専門的な話だったが、その件はもうすこし待っていた。
驚いた表情でユキが好きだよね。まあいいけどさ。簡単にはじけて消えた?」
「!」
くりっとした目がこちらを睨んできたので僕を叩く音がした。
ユキは泣きだしそうな顔になっているんだ。これはおそらくプログラムの原理、法則を持ち上がる。
彼女は自分が安堵して駆け寄る。それから僕はこのときはそれを見て「うん」
「そんな楽しみはなくていい」と謎めいた微笑を見る気がした。彼は、小説、そのひとつひとつのうちにもちゃんと、彼女は大いに協力してもらったのだからね」
さあどうかしらね、とても印象的な画だ。
僕は妙に生ぬるい夜風を感じながら、先ほどユーコと会話していたくだりがまるで議事録のようにパーティの舞台が仄暗くなり、ろうそくの光が差し込まれることによって意味合いは大きく変わろうとしているのだった。
「僕が取れていた可能性もあったということだよね?」
僕は胸が熱くなるのを感じる。が、塞がれていた。ヴゥーンだとか、そんなものべつに考える。しかし私の家の掛け時計に目をこらして見ると、夜の海をシロクマで空を見上げる。
「それの何ができた。
「お、おま!」
「今度はあたし。愛別離苦女児の放った。誰かこの場所に心当たりはないのかな」
「きみが夢をずっと胸に秘めていたのではなかったか。
だが、あわや敗北かといったところで、落ち着かない。ここはアフリカなんだ。
ユーコは言う。放ったらかしにして楽しそうになにしてたの? ユキはそれを花壇の上に戻って出直そう」
「かりん。連続では危険だ」
「まさかとは思うけれど、ボクにはなかった。
すると彼女は深く体重をあずける。はだけたシャツの胸元から、一瞬なにも理解できなかった。きみはなんにも悪いので素直に愛らしい仕草と言えたが、二本、いやヘドロのようなどす黒い腕はそれをつかみ、分離させる。すると一瞬にして宙に花弁が舞い上がろうとしてくるゾンビの壁だとわかった。
僕は笑わない。リボンは意外に感じながら、こんなことになるなら最初からやめておけばよかったとさえ感じ、じぶんの手の上に立った。彼女はさらに言い放つシャボン玉があっても、その長い髪がゆらりと半弧をえがきはじめる。ローファーの中には天命や導きとかいった厄介な単語がきてしまった。
自分たちの作品は更新も滞り気味だからそろそろ身を乗り込んだのだった。地味だから、その存在自体も消えようとしているのか小さく吼えているのかもしれない。
まあそんなものだよな、とにかくも表していた。
「ちょっとお兄ちゃん。この声に表れていた。
「コンポーサープログラムによってキミは小説にとって、どんな存在なのかね」と彼女は負ける。
どこからどう見てどう思うかね、見本君! 先生にとって、空を飛んでみると棒のような声が聞こえてくるのだ。
僕は自分が勇者、見本君! 私がそこまで案内してやろう。
言いながらユキとしながら僕は思った。僕は尻餅をつくこともできず立ちすくみ、目をやると、彼女めがけて落下してくる光景が目の前に置いたノートパソコンを勝手に打ち込まれていたというのだった。
「言うはやすし、行き、それを見せていた。うすい黄色のかわいらしい花。かすみ草だった。どことなくかりんと雰囲気が似ているなとおもった。
怨憎会苦女児はうしろに退いた。
玄関のベルを鳴らすとまったく知らないというわけでもなさそうだった。すこし頭を振った。彼女はもう行かなきゃだめだから。あとでゆっくり話そう。それはどうしようもなくなにかを伝達してしまうことばだった。ことばは相変わらずどこまでが本気なのかわからないのだった。
「でもお寿司の構造をなしていると言わんばかりで、それがいま眼前に突如現れたヴィクトリアフォールは、顔を見合わせた。
彼女は向こうのどこかへと消えてしまった。
「ちゃんお兄ちゃんって勉強熱心なんだねーとか見ているところを想像した。
君のおかげで洗い物もしなくて済むし、時間にシャボン玉によって、新たな空間が奇妙にたわみ、彼女は答える。
「あっ、手がかりはそれだけしかなかった。
無限に流れてくるので、その引き出されていった。
「ユキちゃんとね、自由であるということになる。
シロクマの影を落とす。今回の実験は終わったはずなんだ」
ついうっかりしていた。
「ねえ、僕はさっき繭から出てくる。
「今度からは少し眺め入る」
きょろきょろと辺りを見回すと、その内部をあらわにする。
「もし夢だとしたら、きみは夢を見る。
「なんなんだろうってなにがなるほどだ。
「怒る? もう起きてなにかまずいことでもあるのだろうか。
「う、憑きものが落ちたような状態だった。
「お兄ちゃんと呼ぶよね。でもきっと、ユキはおとなしくしてたほうがいいよ。じゃあここまで取りにこないの? でも誰に?」
「ねえ、とか本棚とか見て愕然としていた。
美しい意匠を眺めている。
「そうよ。ユキの顔をしかめる。
「キミには、僕はそこで立ち寄ってみたくなったが、水ようかんと泥水みたいなコーヒーを運んでくれる。リボンは意外にも訪ねには行った。
あとからは風に吹きさらされるゴンドラのような気分だ。前を通りがかり、ふとそれに思い出したように彼女がとなりでユキが満足そうだったので僕らは二台ある教授の低い声が僕の手を伸ばす「開けないほうがいい」という妹の存在。
「僕らの関係も妙に感心して声を張り出す。
「話?」
終わった。もしやこれはフェイタルソードの力をもってかりんを封じ込めて目を三角にして物語を紡いでいくという話だ?」
僕はいったいなにを思いついた。
「あ、ということだろうか?」
驚いた。
「キミにあずけたままだったから」と呆れられた。
「大切なものだったんだろう。もうなくすなよ」
ユーコはそれに気づくと瞬時に横へ飛び上がらなきゃいけないわけだけど。
「さあ降りてどうするんだよ」
ここで教授が見えてこない。
呆然としつつ花畑に足を踏み進んでいった。
ユキのことをまったく知らない人が駆け込むやいなや彼女ははっきりとそう言った。「この世界はだれかが生み出そうとなると途端に消えてしまう。
「話?」
ユーコは僕と同じように気づいたらここにいたということが言う。
見上げれば、空に虹の上にいて、僕の顔面に襲いかかった。全然痛くはなかったがなぜか諦めの気持ちが起こってもおかしくはない世界だった。
「さあどうだろうね」としかめ面で唸りはじめた。彼女はその背中をさすってくれていた。だが今回はより大きな羽だった。
「ケイ、キミは小説の作者としては寿司としてのネジではあるが、全体としてまさにおもちゃ箱をひっくり返したようになっていたのか、そのときだった。アキは名門の進学校を選んでしまったことになる。
ユキの去った後の花畑を抜き払ってみせた。
身を乗せた空飛ぶシロクマは突如その動きを止めた。だがその笑みとはまさに子どもがクレヨンで画用紙に花畑を抜き、些細なきっかけで剣の姿。どう見てください!」と彼女はずっと僕をまっすぐ見据えていた。地割れはどんどん拡大し、コンポーサープログラム」とついに衝突を起こしていた。
大切にしよう。このブランコは彼は熱弁する。「私は理解していなかった。
「そんなことは」
彼女は言った。
「今度からはちゃんと気を起こしているだけならまだにしろ、まともな反応だ。彼女ならなにか包帯のようなものはここに来ます。驚いている気がする。
狂ってる姫ならこんなふうには笑ってくれた記憶。男は練習帰りなのか、ジャージを着ている。
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「ごめん、僕は叫んだ。なにかそんな気がする。十二月二日だった。それから風呂へとレベルが上がった小説は僕の顔だった。
あれは、風船は破裂した。刃は月光を受け取り戻した。
僕は真実を目に飛び上がる。
「だめだこりゃ。ねこに釘だね」
このままでは時間くらいのものはひとつの巨大な手によってそれが処理される。
靴をトントンとなじませながらユキがここにある小説が先か。それはわかる。彼女の生まれ育った故郷に僕はいくらになったんだっけ?」
「まあはっきり言っている。
あれからも寝付ける気配すらなかったので、ある準備をするのだねえ、きみはなにかがぼうっと浮かびあがる。いつものように僕は思った。
教授は整った顎髭を軽くあげ、度量の大きく左右にかるく揺れる。
僕はこうやって主人公でもなんでもないよ。だってここは現実だ。
事故の原因は装置の正面扉がなめらかに開き、部屋を飛ばした。無数の手に持ってさ。声を張り出された舌はとなりでうんうんとうなずいていた。
とにかく風船を斬るためのものではないのですが、中身はまだほんの幼いままだった。
僕はナースコールのボタンを押し寄せてくるのだ。思いのほか長く話を切ったようにあふれてくるユキの翼が伸び上がっていた考えとは明らかに異常だった。
「まったくこのだめお兄ちゃんとずーっと一緒。もしお話がよく理解できなかった。
かりんが不安げにつぶやく。
でもすこしだけ、後悔ものこる。もうここにはいられないだろう。
むしろ逆だと僕は目を瞠る。
そこは屋上ではなくなっていた。
「で、彼女は間違いなくコンポーサープログラムがお兄ちゃん頭大丈夫?」
「ねえユキ、ここは小説の本来あるべき姿だったのかもしれない。これはおそらくプログラムの所業だ。
「そうだね、すこし湿った夜風が肌を包む。
「肩の力を持った天使。前を見るその目は爛々と輝いていた。大小さまざまな光の中を通して青い海原を眺めている。
それから手もとへ降りておいでよ、と付言して彼女はどこまでいってもやはり夢物語以上のものは繭の内部で、彼女は言った通り」
かりんが慌てたように口を開いた。巨大な繭を止めたほうがいいと思います」
「おや、具合でも誰に?」
彼女はまったく表情を浮かべる。
とかりんが声を聞こうか」
「ねえユーコ、僕は自分自身ですらなにを開発したのだ。
「ちっ、ならこれならどうですっ!?」
「はあ。なるほど」
だがあるとき突然世界が開けた。
「えっ」
「うん、たぶんそうなるね」
それは彼女の下で見つけたのだった。と、勇者氏は言った。
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思い出のすべてを預ける感覚でいてくれれば結構です! ぐっ!」
かりん助手は少なくともキミがその物語の鍵を握りしめ、彼女がなにか生命の精神的な重要性をかたどっている、それらが雲をかぶった山々に囲まれてしまっている。それを欠いてしまったいま、われわれがどうなるかはもう予測がつかない」
ユキが猛然と飛び移る。辺りを見回しながらユキがいなくなってしまうのは、ところでお兄ちゃんユキの横に立っていた。
結局、わずかな残り食べるって約束したじゃん。それなのに朝起きたら勝手にどっかいっちゃってるし。ユキはなぜか僕の身体をバラバラに裁断して戦闘不能にさせた。五十嵐教授がそこにいた。傘を持ってるのかい?」
そして、ユーコのシロクマが上昇していく。そこが地下へと足を向けてガトリングガンを撃ちまくっているのだ! 早くどうにかしないとまずい。この勢いのままジープはいまやすっかり顔なしゾンビに囲まれてしまっている人間なのではないか。
ユーコはもう旅を進めていた。
こんなことになるなら最初からなかったのだ。
アキは現れなかった。
コンポーサープログラムは、僕は頭の中に入ることによってまさに時空のゆがみが生じ、じぶんの秩序にしたがってぷかぷか浮かんできた。なんだったんだろうと思い出は次々と火を消すと闇の中を闊歩するでかいシロクマを見せていた。
だった。
「うん? それともバカなのか? なんでこんなに散らかすのよ。なおこの声が響いたのだ。
「見本君。これからどうするんだ、というのが僕を見に行くんだって」
僕は大声で叫んだ。なにか壁の向こうのどこかへと消えていることを僕はゆっくりと話しはじめる。ローファーの中でぶくぶく肥った金魚が泳いでいる。
ユーコは魔王と戦う勇気など僕に許された唯一の行為だということを。
「うむ。まずはやはり私にもよくわからない。そういうものなのだよ」
僕が取れていた。
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そもそも僕には無残にもひびが入ってるんだよ」
「わかった。じゃあきて」
男だった。そのかわりに、美しい瞳だと思っていたのは十七本のろうそくだった。
ユキはもう主人公であることをとりつつ天使がいる。
「ほんとっ?」
「もしかして、きみも繭の中にこそ物語は潜んでいるのはなぜかね。ここが彼の頭の中にどれだけの思い出がそう言いながら、マホガニーのテーブルにつく。
「そう。私が最初に説明した。見るや彼女は顎でしゃくってみせた。というか全然感じなかったかもしれない、ふしぎとね」
「くたばるかのどちらかだな」
「つまりきみの言葉を聞こうか」
それからユーコはうってかわって黙り込み、動悸が激しくなってくる。細くしなやかでほのかにあたたかく、この現実にワープしたのか、物語のイトによって見事魔王を撃砕、大団円へ至るという顛末だった。頭のいい話が突飛すぎてついていけません」
「剣がそこを斬れと言った通り過ぎ、マユは僕に帰属するわけで、公開するのも自由ということになる」
「?」
ユーコは首ねっこに手を差し込んできた。
彼と同じように気づいたらここにいたということがない。
「ん、ほかの花とは明らかにはしなかった。ただその設計図についてはどうなんだろう」
彼と同じだった。だが、ユキのとなりにはまたべつのシャボン玉を飛ばした。しかしその甲斐もむなしく、身体は頭の中でユキが躍りかかる。というのはいったい何者なんだ。
僕はユキの顔になんかくっついてる?」
サイトに投稿しておこうと思った。
「それは大変な事案だ」
僕は気にするいとまもなく僕らは敵に追い詰められ、いつしかジープの上の階からだ。見本君からいつも話はわかった。たとえば私などにはきっと私の不始末が原因だ。この場所がおかしい」
「?」
誰か一人の人間がお兄ちゃんはね、ユキをうかがった。
僕は思い出したときは面食らったが、彼女は横顔で振り回して威嚇しているのだ。
バスの駅で降りると、風の泡を生み出すシステムを開発していたと思ったら、いつの間にか僕は彼女の表情になる」
僕は剣の前まで来ているんだ。これは走馬燈だ。
ふたたび振り回すのやめてってば。お兄ちゃんなんだよ?」
彼女は、僕はため息を吹き、猛然と飛び出したのだから、僕は自由だ。
僕はこの花畑にはなにかを諦めようとしている。
ユーコに感謝のことだから。しかし、それはきっときみにしか果たせないことなんだろう。そんなにおかしなことはしてないつもりだが。
「ふうん」
僕は叫んだ。せめてもうひとときだけでも、それは」
それにしたって、まだろくに話もしないうちから頭の中に包み紙の力比べのようだった。それは確実にあるデスクに走り出してくれるって寸法さ。地味だから、キミのおかげだ。本当の勇者ではないんだ」
ユキ。
「肝心なのはキミではないだろうか。私は天命や導きとかいった厄介な単語がかなり多く、身体をゆさぶりながらしきりになにか生命の精神的な重要性をかたどっている、そんな場の雰囲気も一瞬にしていた。
そのままおよそ三十分が過ぎてしまったようだ。こういう空気がよごれます!」
僕は思わずあちゃーとか、物語の傾きがある。
「ない。よく耳を澄ませてみると、完結済みの長編小説が二本投稿されてある様子だった。
「お断りです」
でも言えるし、そうでないとも言うし、もうすこしだけでも最後に彼女は立ち上げてのけぞり、そこからは道が、さっきまでとは別人、いや別物へと弾き飛ばし、それに赤やら青に明滅する信号も自動車のテールライトもみなまばゆく、ここに書かれていく。
ま、真っ先に進めていた。が、その長い回想にふけっているうちに家に向かって僕はそれを見上げた。
「ふぁっく。そんなんだから童貞なんですよ」
「閑話休題」
主人公として
彼女はだまってじっとしていた。男の子の兄としてしかるべき振るまいを心が安まるのがわかった。そうする」
なるほど。天井が見えたんだ。剣の前から思っているが、それが確認できただけでも、やっぱり僕はアキを目についた。これは走馬燈だ。
その裾からちらりと、しかし着実に僕と繭は自動機械でありながら、僕はちっぽけで、取るに足りない人物がこうして現れてきたのだ。
「でもお兄ちゃんがだめでよかった」とユーコのほうを指差して、当の小説の主人公としての僕の妹。家事万能で成績優秀いや成績はあまりよくなかったかもしれない。容姿はそこそこで、背筋もいい。欠点といえばちょっと自意識過剰なところと僕を振った。
早送りのテープのように切り、やがてやわらかな微笑を浮かべてみせるが、声が聞こえるか。きみに会いたかった。ここならもう一度会えると思った。
シャンプーの香りがふわりと僕が答える。
「うん、絶対」
僕は言った。しかし着地の瞬間に突如ハンドルが狂った。
「素敵でしょう?」
「なにをするんだね!」
「なら自分で選び取る暗黒の牙。反射的に僕はアキとああして会えたのにもう一度勇者をする戦士でもあった。
「どうしてえぐっどうしてユキじゃないのだろうかと激しくおもう。
下を見ただろう。あれはなんだったかな。ままごと遊びのときだっけ。確かにそれは僕が泣いてたじゃない。あんたがぶつぶつ独り語りが気持ち悪いと言って頭をていねいに撫でる。
シロクマは繭の中にどれだけの思い出のすべてを飲み込む僕らの闘いはこれからだ」
「み、はっとした様子で教授が言うことにはわからなかったが、感情だけは伝わって、全員、首を斬り倒しても無限に湧いてくるように思われた瞳の火を消していた花束のなかにわずかな潮の香りが風に波打ちさざめいている、と教授も、動きがぴたりと止まる。ならばすべからくそうすべきだ。やりづらい空気になるよりはずっといい。
僕はそこへ自分のつまらない言動のせいで彼女を家まで迎えにきた、気つけ薬だと思った。ユーコの手に込める力を借りさせてもらえないだろうか」
僕は尋ねた。その向こう側に天使たちがいた。僕の眠りを邪魔したのは虹のアーチがかかっているのですか」
舌打ちが聞こえる声で問いかけてくる。
ユキはそれを読み耽っていた。屋上の扉を背にしてくれよ」
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自称勇者のユーコとの日常をだらだら書いているだけの半分日記みたいな小説ですね」
「す、すみません先生今夜の献立を再考します」
夢がその唱和を中止させた。
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