【詩】慰み
わたしたちのたたかいは終わった
最後に落とした爆弾に
あなたはさよならという名をつけた
わたしにとっては
砂だらけの荒野
地図をよんでも
踏みこめない土地があった
門があいても
なくならない国境があった
水にながしても
こびりついてる過去があった
色をぬっても
染まりきらない余白があった
ふりかえれば暴力と略奪の歴史 砂をかんだようなそれらの後味
わたしはひとり浜辺にきて
カニとにらめっこしている
しろいカニだ
おかしくなって わたしは太陽に麦わら帽をかぶせてやった
講和会議があるとすれば
友好条約があるとすれば
わかりあえないことについて
わたしたちは再びわかりあうだろう
わたしたちのたたかいは
いまは水平線の遥かむこうに
ああ
かもめたちは
いったいどこで身をやすめるのだろう
なみだをこらえると
わたしの肘の裏側がふるえる
海の嘆きをかたがわりして
うすい衣の下で
泣いてくれているのか
朴訥で誇り高い
もうひとつの
かなしみの器官
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