未定 1

 厄災に見舞われた町は壊滅し生き残った人々は幾多の死に直面しながら生活していた。

 その中に居た青年は一人も切り捨てない一人の神官と出会った。

 取捨選択を前に捨てない可能性を追い求めるは現実が見えていない愚かな人に見えた。情を優先して

 幾度も道が閉ざされ、考えても変わらない結末に、無駄な労力を割いている。

 他の神官からも諦めが悪いと呼ばれたを神官らしいと呼ぶ者は小素派だった。


 神官が属する組織は非営利団体で有り、活動資金を募金で賄い、その多くが神官出身者から寄付されたお金。

 営利では救われない人々を救うために存在する組織に属する神官が、助かる可能性を否定し諦めて、他者の救済に回す事は間違ってはいない……が、命を天秤に乗せている。

 すべてを救う事は夢物語だが、利益に囚われない組織は夢を追う事が出来る。

 神官なら夢を追わず現実を見続ける事は損だと考えるは少数派だった。


 が語った夢物語はその殆どが叶わなかった。


 お金は有限で現実を生きる者に必要な物を無駄には出来ない。お金が尽きれば神官の活動は出来ず無力に成る。無駄を減らす為なら時に厳しく断ずる事も必要だと青年は《S》考える。


 少なからず感謝された英雄と肩を並べられず、労力や業績に見合わない評価を受けた。



色々と

 特級神官は、神官を統括して町の復興に尽力したが、利益を重要視する者から無駄が多いと指摘されている。

 利益を基準に物事を見て全体的に考えている者たちは特級神官を不出来と評しているが、個人を重視する者からは道徳的な評価を高く得ている。

 特級神官の運営方針の間違いを指摘する人々の多くは、結果的に復興が果たされた事を英雄の御蔭と評して、出来なかった可能性を追ってまで無駄を問題視ている程に嫌い。


 青年は、厄災以前からお金を重要視しており、営利的に無駄な事が多かったの手段は町や神官が属する組織に有益ではないと評しているが、道徳的で善良な行いとも評価している。の考えは、無益ではないが全体を考えれば損している。


 神官の位は女神様が決めている。人事権を持っているのは女神様です。


 特級神官は復興が始まってから死ぬまでβで活動する神官を統括し続けて、教育にも関与していたが自身の価値観を他者に教える事は稀で、技術や知識を教えていた。

 価値観を押し付けぬ動機は微かな期待から可能性を見出しても失敗が多い手段は心を痛めつける事から容易に推奨は出来ない。覚悟か逃げられぬ偶然や強要が必要。

 夢物語を追いながらも現実から選択を強いられ、選んだ末に何かを犠牲にする。期待させた末に犠牲を選び、救いたい者を救わない(救えない)選択は裏切りか……。

 現実を否定は出来ないからしていないが夢は捨てない。

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