【口語訳】元口民命(まいむ)の盲陽(もう)

生命がこれまで宿した、すべての記憶を

ずっと管理してきた「想い、魂と記憶の司書」です。


祖王(カミサマ)たちのうち ある一人を師匠とし、誠実に仕えています。

祖王は、ある世界を始める時には毎回立ち会っていて、その終わりも立ち会い、その全ての責任を持ちます。


魂の司書である盲陽(モウ)は、

祖王へ祈りを捧げます。

「すべての存在と、すべての意志が

ひとつになりますように」

それぞれの命が 生まれてから終わるまでの記憶を まとめ続けていて、終わった時に記憶を回収して、まっさらな魂にしています。

まっさらになった魂は、「大いなる魂」にまとまります。


遥か昔、ある乙女(戻女 れいにょ)が

恋人を亡くして嘆くので

祖王は 盲陽(モウ)に頼んで、

生き返らせて あてがいましたが

戻女は 亡くした過去を思い出して また病んで

さらに追い詰められて 引きこもる結果になりました。

これは、祖王の失敗でした。


生命の記憶が何千 何万もの種族に分岐した時、

祖王は、その樹形図を見渡しました。

その中に、一筋だけ

祖王の目を引く筋(すじ)がありました。

それこそが、本当に欲しかった

こたえでした。


盲陽(モウ)は、それを見て想いました。

"わたし(たち)は、その未来を望みます。

来たるべき時が来たのです、祖王。

どうぞ、ご命令を―"



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