第83話

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 高木教頭は気を失っていたが、黒川拓磨との戦いが夢の中では続いていた。そこではワン・ツーとパンチを食らったが、反射的に伸ばした左の拳がクロス・カウンターとなって相手の顎に命中していた。一進一退だ。

 負けてなるもんか。俺は勝つ。足だ。足を使って奴を翻弄してやる。 

 高木教頭は、柳済斗にリターン・マッチでKO勝利した輪島功一と自分をダブらせていた。

 根拠のない自信が湧き上がってきて目を覚ます。やられたら、やり返すのがオレの主義だ。クソ小僧はどこへ行きやがった。今度こそ叩きのめしてやる。「畜生、よく見えない」頭から床に倒れ込んだらしい。こめかみのところが酷く痛む。くらくらして目の焦点が定まらない。ぼんやりとしか周りが見えなかった。

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