第84話
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犯される。口を男の血で真っ赤にした黒川拓磨が加納久美子の前に立っていた。下半身は裸でペニスは大きく勃起していた。怖い。身体の震えが止まらない。
腐敗臭を放つ男は骨が露わになった右腕を痛々しそうに抱えて横たわっていた。筋肉も腱も噛み千切られて、辛うじて手が腕に繋がっているという状態だ。全身が血まみれ。もう、どこにもライターは見当たらない。
黒川拓磨は教室の前にいた何人かの男子生徒たちに顎をしゃくって見せると、その顎を次に久美子へ向かって突き出す。担任教師を担いで教室へ連れて行けという合図らしい。「早くしろ」
数人の男子生徒が向かってくる。先頭は片手にロウソクを持った板垣順平だった。黒川拓磨の言葉に反応して走り出した。
逃げないと。そう分かっていても久美子が出来たのは、その場に弱々しく立ち上がることだけだった。
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