第2話 セルリアン

報告書を書き終え、仮設の研究所から出ようとドアを開けると、そこには大型のセルリアンが待ち構えていた。とっさの判断で胸元に入れていた銃を取り出す。

歴代の、数多の研究員たちの英知の結晶、セルリアンの活動を阻害する薬品。小さいセルリアンでの威力検証はされてはいるが、ここまで大型では・・・。

ぬかった、そう思った時にはもう遅く、セルリアンは巨大な前足を振り下ろし始めていた。

覚悟を決め、目を瞑る。しかし、いつまでたっても衝撃はない。セルリアンに飲まれるのはこんなにあっさりしているのか・・・


「おーい、だいじょーぶー?」


声?

目を開けると、そこにはアニマルガールの姿が。


「あれ、セルリアンは?」


「アライさんが倒したのだ!安心するのだ!ふはは!」


「石をたたいたのは私ですよー!」


「あなたたちは?」


「私はイエネコだよー、エネってよんでー。それで、あっちの偉そうなのがアライグマのアライさんでー、もう一人がニホンイタチのいっちゃん。」


「アライさんは偉いのだ!!」


一見普通のアニマルガールだが、彼女らの左手は黒く染まっている。先ほど森で見かけたアニマルガールの仲間だろうか。


「私はリセ、ジャパリパークのスタッフよ。あなたたちに聞きたいことがあるんだけど。」


「それならー、アジトにいこー。」




「ここは・・・!」


明らかな人工物。見覚えのあるマーク。


「研究所・・・。」


「ここがアジトだよー」


「ただいまー!」


「お邪魔します」


内装も自分の知っているものとかなり近い。


「お客さんかい?いらっしゃい。私はタイワンザル。みんなはイワンって呼ぶんだ。それと、急で悪いんだけど、手が空いてるならエイちゃんを慰めるのを手伝ってほしいんだけど・・・」


「あー、エイちゃん、やっちゃったかー。」


「エネ!そういうこと言わないの!」


「あの、これはどういう・・・」


大事な部分が伝えられていないこともあり混乱する。すると、今エネを叱ったアニマルガールが説明をしてくれた。


「えっと、あ、まず、私はマングースです。あそこで泣いてるのがイエウサギのエイちゃんです。それで、えっと、話すと長いんですが・・・」

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調査報告4


腕の黒いアニマルガールについての情報

通常のアニマルガールと接触した場合、強い攻撃衝動に駆られるようだ。

おそらく、それが一連のアニマルガール同士の闘争の原因だろう。

また、その争いで通常のアニマルガールが負けると黒い腕に取り込まれ、元の動物に戻ってしまうらしい。状況が酷似しているため、今後は一時的に「セルリアン化」と呼ぶことにする。

この島の研究所にはアニマルガール化していない動物が多数収容されている。

アニマルガール同士の闘争に関しては、彼女らの意思に反している部分が多く、「戦いたくない、だめだ、と分かっていても、気が付けば攻撃している」そうだ。

何が原因でセルリアン化が起こるのかを調査する必要がありそうだ。


5月24日 20時48分

記録者 高田リセ No.1-230ABK

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洞窟。


「エゾシカさん、あのヒトですが、奴らと接触していたようです。」


「・・・明日、会ってくる。」


「お供します」


「いや、一人でいい。」

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