第42話 織田信長、因果と事象の果て

 ころり、ころころ、ころころ、ころり――。

 転がるダイス引き寄せたのは、偶然か必然か。


 その目が出たから、この事象が起こる。

 いいや、それは違うのだ。

 この世の因果はまったく逆である。

 この事象を起こすためには、その目を出せばいい。

 可能性を引き寄せるため、いくつもの偶然を集積して因果を紡いだ。

 そして、いよいよ起こるのだ。

 

 卵は孵った! 卵は孵った! 卵は孵った――!!

 もうすでにうつわはできあがってる。


 百万にも及ぶ繰り返しの果てに紡がれた、可能性という名の必然。

 神はサイコロを振らないという。

 いや、振るのだ。サイコロを振って可能性を征したものこそが神である。


 泡のように消えては浮かぶ、幾百幾千幾億の物語。

 これこそが、すべて起こり得る未来と世界の枝葉しよう――。


 待っているがいい、恐れるがいい。

 我らを過去という堆積した闇へと放逐したすべての者々よ。


 あらんかぎりをもってその可能性を切り落とす。

 受肉した第六天魔王が、あらゆる可能性を破壊し尽くす。

 

 怨嗟の報復を受けよ、憎しみの歌を聞け。

 ああ、今ようやく。我らの無念は晴れるのだ――。

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