097  若き魔導士の追憶Ⅹ

 寮に戻ると、二人は同じ部屋に入った。



 普通、男女は別々の部屋であるが、デミトロフの侍女という理由で同じ部屋で生活をしている。



 部屋の中は二段ベットになっており、机がそれぞれ一つずつ用意されている。



 トイレ、お風呂が用意され、そして、調理ができるほどの小さな台所が設備されている。



「それにしてもお前と戦うのはこれで何戦目だ? 勝った記憶が無いんだが……」



 制服を脱ぎながらデミトロフは台所で調理をしているエミリーに話しかける。



「そうですね……ざっと千は超えているかと思われます」



「そんなに超えているのかよ……」



 それを聞いて少し落ち込む。



 台所からはいい匂いがしてくる。



「さっさとシャワーを浴びてきてくださいね。一日着た制服のままじゃ汗臭いでしょ?」



「今やっている」



「脱いだらそこの籠の中に入れておいてくださいね」



 そう言われて、デミトロフは服をかごの中に入れ、シャワーを浴びに風呂場に向かった。



 シャワーを浴び、エミリーが作ってくれた夕食を食べ、学校の課題をする。



 そして、十二時頃になると眠りにつく。



 こうして一日が終わっていくのだ。



 ――――明日はあいつと決闘か……。



 ――――市街地A,隠れながら戦うのには有利でスナイパーには不利に近い地形になっている。



 ――――さて、どう戦うか……。



 デミトロフは、頭の中でそう考えながら目をつぶった。

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