第9章 氷の女王
098 氷の女王Ⅰ
休日――――
デミトロフとエミリーは、演習場を借りて決闘の準備をしていた。
それぞれ違う準備室で用意している。
武器となる装備品は、学校内の備品を選び、深呼吸する。
これから先は殺し合いだ。
気を抜けば一瞬で殺される。
神経を研ぎ澄まし、鼓動が速くなっている心臓に手を当てる。
今、自分が生きていると感覚を実感している。
例え、模擬戦とはいえ、やればやり返される。
――――いよいよ、この時が来たか……。
――――あいつはどうやってこの地形を使ってくる。
――――あいつの狙撃技術は侮れない。剣術はギリギリ亘りあえたとしても一度隠れられてしまっては一溜まりもない。
――――そうなると、チャンスは一度っきり、最初の一撃を決める!
デミトロフは、自分の武器となる木刀を二本と拳銃、狙撃銃を準備し、部屋を出る。
一方、エミリーは静かに準備を終えて、武器の手入れをしていた。
――――ジョンは、一撃で私を狙ってくるんでしょうね。
――――最初の攻撃さえ逃れれば勝機はある。今回のフィールドは市街地A
――――建物はほぼ並列並み。狙撃ポイントは教会の塔のみ、たぶん、そこはまず、使えない。
――――と、なるならば……私は最初の一撃でカウンターを決めるしかない。
エミリーもまた、ほぼ同じ考えを考える。
二人の頭脳戦は、ほぼ互角状態であり、後は腕次第となる。
自分の腕に自信があるエミリーが有利であるが、デミトロフも決して腕が無いわけではない。
双方、自分の判断次第で決着がつくと考えているのだろう。
エミリーは、武器を持つと、準備室を後にした。
目の前にある道の先に眩しい光が自分を照らす。
この先の未来の予測を的中させる事は誰にもできない。
だが、憶測する事は出来る。
一歩前に出れば、そこは地に染められた戦場が待っている。
例え、それが身内であっても知り合いであっても関係ない。
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