078  咎人の罪Ⅷ

 フードをかぶった人物は、左手に右手拳を添えて、一気に左から右へと閃光の光が綺麗に横線に光り、消えていく。



「お前らの命だよ……」



 フードが脱げ、顔が見える。金髪のキレイな短髪が、飛び散る血によって少し染まる。



 声はマーロスだったが、現れたのは総司である。



 軍人たちからは大量の血が流れ、バタバタと倒れていく。



 まだ、息はしているが、ほぼ医療的処置は無理な状態だ。



「き、貴様……何を……」



 意識のある軍人の一人が、口を開く。



「何を? それは俺のセリフだ。軍人が禁忌に手を伸ばしてもいいとでも思っているのか? 関係のない日とまで巻き込むつもりだったんだろ? 人を犠牲にするつもりなら、それと同等に自分が殺される覚悟無いといけないんだよ。人の命はお前たちが思っているよりも重い」



 総司はマントを脱ぎ棄て、裕也と三久がいる祭壇へと向かう。



 階段を昇り、頂上まで上ると、裕也達の前に立つ。



 裕也は黙ったまま、静かに怒りを爆発させ、鎖を自力で解いて総司の元へとゆっくりと近づく。



 三久は両手で口を押えながら、目の前の景色を見て吐き気を押さえようとする。



「総司ぃいいいいいいいいいいい!」



 裕也は総司の胸倉を掴んで顔を近づける。



 平然としている総司に対して、もう、怒りを隠すことができずに睨みつける裕也。



「お前! 何をしたのか分かっているのか!」



「…………」



 裕也に憎まれても何も動じない総司。



「こいつらだって生きていたんだぞ!」



「それがどうした?」



「――――っ‼ お前なぁ‼」



「きれいごとでこの世界は回っていないんだよ。俺は、多くの犠牲よりも小さな犠牲を選んだ。それだけだ……」



 総司は裕也の手を振りほどいて、裕也の横を通り抜け、三久の左肩に手を添えて、小声で囁く。



「こんな所を見せてすまない。裕也が怒ることは承知でやったことだ。俺はあいつに恨まれようと大丈夫だ。それよりもあいつのそばにいてくれ。本当にすまなかった……」



 口から洩れる声は、分かっててやったことだと三久は感じた。



 何も動かずに立ったままいる裕也を三久は見て、ゆっくりと歩み寄り、背中を支えながら祭壇を降りて行った。

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